バブル全盛期の頃に、東京の山の手地域ではかなり乱暴な土地売買が行われました。この勢いでいくと、山の手地域はすべて札束で乗っ取られるのではないかとさえいわれるくらいの人気でした。
旧山の手はもともと武家屋敷があったところで、その後に住み着いた人たちは明治維新で活躍した地方出身者が多かったようです。いわば新旧の官僚たちなどが混在していた地域といえるでしょう。
これに対して新山の手は、東京でも庭付きが当たり前の地域でした。その後はバブル崩壊や財産分与などで土地が切り売りされましたが、優雅な暮らしをしている点には変わりありません。
新旧山の手かいわいでは普段から上品な会話が交わされていました。今は少なくなったといっても、その品の良さは、やはり山の手特有のものでしょう。
山の手地域の住宅街を歩くと、高い塀に囲まれた家々はまるで来訪者を拒んでいるように見え、その閉鎖的な環境では、下町のような隣近所の付き合いなどは育ちようがありません。
山の手っ子の特徴は、のびのびしていて屈託がありません。典型的なお坊ちゃま、お嬢ちゃまですから、余裕があってガツガツしていないので、人に好かれます。これは育ちと環境がつくった性格でしょう。
しかし、時として人を見下すような態度を取りがちです。ちやほやされて育ってきていることも多く、言動が合理的なのです。当人は意識していなくても、相手には誤解されやすく、真の友達をつくるのが難しいといわれます。
社会の厳しさに鈍感で、人にだまされやすい傾向もあります。
◆平川陽一 早稲田大学卒。主に歴史ミステリーの分野で活躍。著書に「世界遺産・封印されたミステリー」「戦争で読む日本の歴史地図」「日本列島 名城の謎」などがある。












