「あれ、去年よりちょっと痩せましたね?」

 過日、健康診断の後、栄養士からそう指摘された。実は健康診断に向け、慌てて糖質制限をして体重を落としたのだ。その話をしたところ「肝臓が疲弊するので糖質制限はおすすめしません」と言われてしまった。酒飲みにとって、要とも言える肝臓が疲弊するだと? これは聞き捨てならんと、忙しい栄養士を獲っ捕まえ、詳しく話を聞いた。

 栄養士によると、糖質が足りないと肝臓は「糖新生」という裏技を発動するという。糖新生とは、筋肉のたんぱく質を分解して、糖を作る仕組みのこと。「足りなきゃ作ってしまえ!」という肝臓の機能がすごすぎる。

 いや、感心している場合ではない。酒好きの場合、肝臓はアルコールの分解で普段からフル稼働。つまり糖質制限中に酒を飲めば、肝臓は「解毒と糖作りのダブルワーク」となる。ブラック企業もびっくりの働かせっぷりだ。その上、糖新生が続けば筋肉は代謝が落ち、脂肪は居座り放題となる。糖質制限で「痩せた!」と喜んでいる間に、低代謝&リバウンド体質に陥ってしまうのだ。

 かつて糖質制限で痩せた成功体験から、またもやってしまったが、肝臓の健康維持のためには制限ではなく「コントロール」することが絶対条件。栄養士によると、「1日の総エネルギーの50~60%を糖質から摂取するのがベスト」だという。活動量・年齢・ダイエットの有無によって異なるが、体重70キロの男性なら280~350グラムが目安。3食ご飯を茶碗1杯(約150~160グラム)食べてもまだ余裕がある量だ。ご飯に限らず、オートミール、さつまいもをうまく使えば、肝臓に燃料を与えながら脂肪をためにくい体を維持できる。

 ということで、私も栄養士の指導に従って、おそるおそる糖質を毎食摂るようにしてみた。2か月後、リバウンドで2キロ太った体重がスルッと落ちた。もちろん肝臓は絶好調である。酒を長く楽しむためには、糖質制限ではなくコントロールすることがいかに大事か、身をもって実感した。