まさかの失速だ。大相撲秋場所11日目(24日、東京・両国国技館)、関脇若隆景(30=荒汐)が幕内琴勝峰(26=佐渡ヶ嶽)に寄り切られて痛恨の3連敗。6敗目を喫して、今場所後の大関昇進の可能性が消滅した。場所前には親方衆から高く評価されていた大関候補に、何があったのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)が徹底分析した。
若隆景が痛恨の黒星を喫した。琴勝峰に右を差されて上体を起こされると、胸を合わされてずるずると後退。そのまま何もできずに力なく俵を割った。取組後の支度部屋では「下がってばかり。切り替えて、一生懸命相撲を取る。しっかり集中してやるだけです」と必死に前を向いた。
今場所で2桁白星なら大関昇進の可能性があったなか、まさかの3連敗で5勝6敗と黒星が先行。残り4日間を全勝しても10勝に届かず、今場所後の大関昇進の可能性がなくなった。この日の相撲内容について、秀ノ山親方は「若隆景といえば、低い立ち合いから鋭く前に出て、下から押し上げていく相撲が持ち味。あれだけ上体を起こされて負ける姿は、あまり見たことがない。今場所は本来の相撲が取れていない」と分析する。
関脇だった2022年春場所で初優勝を果たしたが、翌年の春場所で右ひざ前十字靱帯断裂の大ケガを負った。手術と長期離脱により番付は幕下まで転落。地道な努力で三役まではい上がってきた。2場所前は小結で12勝、先場所は関脇で10勝。親方衆の評価も高く、大関昇進の機は熟したかに見えた。期待の大関候補に、いったい何が起きたのか。
秀ノ山親方は「夏巡業でも精力的に稽古をしていたし、本人もチャンスだと思って取り組んできたと思う。ただ、勝ちたいという気持ちの焦りや、負けられない重圧といったわずかな心の揺らぎが勝敗に直結する。心技体のバランスが崩れると勝てないのが相撲の難しいところ。心の部分で守りに入ってしまっているのかもしれない」と指摘した。
今場所での大関取りは消滅したとはいえ、ここで投げ出すわけにはいかない。一度でも負け越してしまえば、大関への挑戦権そのものが白紙に戻ってしまうからだ。過去には8勝や9勝どまりの翌場所に好成績を収め、一気に大関昇進を果たした例もある。
秀ノ山親方は「結果が出ずに考えすぎると、相手の良さばかりが気になって、うまくさばこうとするメンタルに陥りがち。相手ありきではなく、自分の強みを生かすことに集中するべき。自分の相撲を見直して、本来の攻めの形を取り戻してほしい」と奮起を求めた。
今回の失敗を次のチャンスにつなげることができるのか。残り4日間で大関候補としての真価が問われることになりそうだ。












