世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁が23日、政治資金法違反容疑などで逮捕された。韓氏は元幹部と共謀し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻・金建希(キム・ゴンヒ)被告に不正な金品を贈り、教団の事業に便宜を図るよう依頼した疑いが持たれている。全国統一教会被害対策弁護団副団長の紀藤正樹弁護士が韓氏逮捕を受け、韓国と日本の教団の声明の違いについて指摘した。

 韓氏の逮捕を受けて韓国の教団は「裁判所の判断を謙虚に受け入れる。今後の捜査や裁判手続きに誠実に取り組み、教団への信頼を回復できるよう最善を尽くす」との声明を発表。そして「国民の皆さんに心配をおかけしており、心からおわびする」と謝罪した。

 一方、日本の教団は公式「X」で「韓総裁の弁護団は、韓総裁が83歳の高齢であること、心臓関連の施術を受けて療養が必要であること、さらに逃亡や証拠隠滅の恐れが全くないことを訴えてきました。しかしながら、その主張が認められず、このような事態となったことは誠に遺憾です」(原文ママ)との声明を発表した。

〝おわび〟と〝遺憾〟という異なる日韓の声明に紀藤氏は「韓国と日本の統一教会で温度差が出てきている」と指摘。これまで霊感商法や高額献金をはじめ、さまざまな指示は韓国の教団本部から日本の教団へ出されてきたことを踏まえ、「トップ(韓氏)がいなくなって、韓国から日本への伝達ルートが混乱している可能性がある」と推察した。

 日本においても「指導体制が割れている可能性がある。韓国の指示をそのまま聞く人たちと国内で独自路線を取る人たち。韓氏の逮捕は日本の教団内の勢力図を塗り替えることもありうる」と話した。

 さらに韓国のお詫びの声明は、これまで「宗教迫害」と教団が抗議してきた路線とは180度転換した異例のものだという。

 その理由の一つが韓氏の求心力の低下。韓氏は夫で教団の創設者の文鮮明氏の死後、「独生女(神の唯一の直系系統の娘)理論」という新たな教理を掲げた。

「教団内部でも独生女理論には異論があったと韓国国内で報道されている。教団として生き残るためにも捜査の矛先が、残った幹部に及ばないように韓氏で止めたいという動きも感じる。そういう意味でおわび路線に入ったとも言える」(同)

 いずれにせよ、日韓の教団双方ともダメージは避けられそうにない。