最近、「暗闇ボクシング」なるものを始めた。暗闇ボクシングとは文字通り、クラブを思わせる薄暗い中で、音楽に合わせてサンドバッグを打ちまくる流行のエクササイズだ。1回30分のプログラムなのだが、始終飛び跳ねて四肢を動かしているため、終わると滝汗&ヘロッヘロ。さぞ腹が減ってドカ食いをするだろうと思っていたのだが、これが意外なことに軽く食べる程度で満足してしまうのだ。以前の私ならビールと一緒に、カツカレーや天丼に手を伸ばしていたに違いない。

 そんな話をインストラクターにすると、「中強度の運動を20~30分すると、脳内に“ごほうび系のホルモン”エンドルフィンやドーパミンが分泌され、強い満足感が得られるから」とのこと。さらに肝臓から糖が放出されることで血糖値が上がり、「満たされた」と脳が錯覚するんだとか。これはヨガやピラティスといった軽度の運動では味わえなかった感覚である。

 中強度の運動にはドカ食い防止の他、もう一つ大きなメリットがある。運動を継続し、筋肉がついてくると、体内の水分量が増えるので、同じ量のアルコールを摂取しても、悪酔いをしにくくなるのだ。つまり筋肉は、「天然のアルコール緩衝材」として機能してくれるというワケ。

 確かに私自身、暗闇ボクシングをはじめてから、酒が抜けるのがわずかに早くなったような気がする。とはいえ、遺伝的なアルコール耐性が変わるわけではないので、油断は禁物である。

 いや、それにしてもボクシングの効果はすごい。食べ過ぎを防ぐ満腹中枢へのアプローチと、飲酒後のダメージを軽減するアルコール処理力の向上が同時に叶うとは考えてもみなかった。暗闇の中でサンドバッグを叩く度、カラダだけでなく心まで軽くなっていく。おまけに酒までうまくなるのだから、これはもう最高のごほうび習慣と言っていいだろう。「ボクシングはハードルが高い」という人は、少し速足のウオーキング、ジョギングなどでもいい。自分なりのごほうび習慣を見つけると、カラダも肝臓も心地よく変わっていく。