ロシアとウクライナの停戦をめぐって、トランプ大統領は18日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。その後、欧州首脳たちが加わり会談が続いたが、トランプ氏はその会談を打ち切って、プーチン大統領に電話し、プーチン氏とゼレンスキー氏による会談の調整を始めた。一連の中で浮き彫りになったのが、プーチン氏が持つトランプ氏に対する影響力だ。

 会談後、ゼレンスキー氏は記者団に「領土問題は私とプーチン氏の間の問題だ」として、首脳会談を行う意向を示した。プーチン氏側は首脳会談に応じるかどうか公言していないが、トランプ氏との電話では2週間以内にゼレンスキー氏との和平交渉に出席すると語ったという。

 トランプ氏は自身のSNSトゥルース・ソーシャルで、まずはゼレンスキー氏とプーチン氏の会談を開き、その後に自身も含めた3者会談を実施するとした。

 英メディア「スカイニュース」は「プーチンはホワイトハウスにはいなかったが、彼の影響力は明らかに存在していた。時折、その影響力は部屋を圧倒した」として、3つの出来事をクローズアップした。

 まず、これまでトランプ氏は停戦を最優先事項としていたが、15日にアラスカで行われたトランプ・プーチン会談後、停戦は和平合意の必須条件ではないと発言するようになった。多くのメディアが「トランプ氏がロシア寄りになった」と報じた理由だ。

 次に、会談後の記者団との質疑応答の変化だ。プーチン氏との会談後、プーチン氏は質問を受けることを強要されなかった。しかし、ゼレンスキー氏は自由回答形式の質疑応答をすることになった。トランプ氏がプーチン氏を特別扱いしたのは明らかだ。

 3つ目は、トランプ氏がゼレンスキー氏・欧州首脳との会談の途中でプーチン氏に電話したこと。当初は会談後に電話する予定だったという。首脳らとの直接会談は、プーチン氏1人との電話会談のために中断された。まるでトランプ氏が協議を続ける前に、まずプーチン氏に確認しなければならなかったかのようだ。

 ロシア事情通は「トランプ氏が恐れるのは、プーチン氏が和平交渉から外れることです。プーチン氏はその心理を利用し、和平、停戦をちらつかせ、トランプ氏を仲介役にとどまらせています。戦争が続く限り、トランプ氏に影響力を持ち続けられる上、国際的な孤立から脱却できるからです」と指摘する。

 プーチン氏は譲歩することなく、ウクライナ領土の割譲を要求しているのはそのような背景があるのだろうか。

 一方、プーチン氏は和平を望んでいないという情報もあるという。

「ウクライナ侵攻前のプーチン氏の最大の心配事は、暗殺でした。だから、何人もの影武者をそろえているのです。プーチン氏にとって、平和の到来は暗殺、クーデターの心配がぶり返すことになります。ウクライナでの〝特別軍事作戦〟を継続し、戦時であることこそが自身の安全なのでしょう。プーチン氏としては、ゼレンスキー氏が承認できないような無理めな要求を続け、戦争を継続する意向かもしれません」と同事情通は話している。

 和平合意まで、まだまだいくつも越えなければならない山がある。