F1レッドブルの角田裕毅(25)が、26日に行われたベルギー・グランプリ(GP)予選で、予選3回目(Q3)に進出した上で7位と躍進し、レッドブル昇格後で予選最高位となる強烈なパフォーマンスを発揮。その裏には、今回のレースから指揮を執る盟友のローラン・メキース新代表(48)の〝大英断〟があった。
レッドブル昇格後は低迷が続き、3週間の短期休暇明けとなるベルギーGPでもフリー走行やスプリントなどでは苦戦。やはりダメなのか――。誰もがそう思った窮地で、メキース代表が動いた。これまで角田にまわさず、フェルスタッペンに集中して投入していたアップデート(改良)を、指揮官の鶴の一声で投入を決定。すると角田はパワーアップしたマシンを駆り、これまでの不振がうそのように見事なドライビングを発揮し、4位のフェルスタッペンに肉薄する7位に躍進。そのタイム差も、合格ラインとされる0・4秒を切り、1分41秒284と鮮烈なスピードを披露した。
メキース代表は予選後、F1公式チャンネルで角田覚醒の理由をこう明かした。「我々は常にマシンのパーツ数を限界まで押し上げている。予選直前に彼のマシンをアップグレードした」と説明。そして「彼のマシンをアップグレードするという、リスクを負うことを決断した」。
なぜ角田へのアップデート投入はリスクだったのか。英モータースポーツ専門メディア「フォーミュラレーサー」が、その理由を指摘した。「レッドブルは、RB21(今季マシン)の最新フロアアップグレードのうち、唯一残っていたスペアパーツをフェルスタッペンのために残す選択肢もあった。しかし、ローラン・メキースは角田のマシンに新しいフロアを装着することを選択したのだ」。つまり、本来はフェルスタッペンのために準備していたパーツを角田のために投入したというわけだ。
この決断は、これまでのレッドブルでは極めて異例。フェルスタッペンが常に最優先のチームづくりで、長年指揮した前任のクリスチャン・ホーナー氏ならば、角田のためにフェルスタッペンがリスクを負う決断は絶対にありえなかった。レーシングブルズ時代から角田と強固な信頼関係を築いていたメキース代表が、批判を覚悟で愛弟子のために出した指令が功を奏したのだ。
メキース代表は「この結果は、全員の努力の甲斐があった。彼のパフォーマンスを非常に高いレベルへ引き上げるのに間違いなく役立った」と胸を張った。角田がこのままフェルスタッペンと同じように表彰台を争えるレベルになれば、常勝軍団復活への期待も高まる。
角田が27日の決勝でどんな走りを見せるのか、世界中から注目の的となりそうだ。












