〝異能〟を発揮できるか。大相撲の横綱豊昇龍(26=立浪)の横綱昇進披露宴が22日、都内で開催された。初場所後に番付の頂点に立ったものの、この2場所はV逸。その間に大の里(25=二所ノ関)が連覇で横綱昇進を果たし、主役の座を奪われつつある。そんな中、元横綱朝青龍の実兄で豊昇龍の叔父、ブルー・ウルフ氏(48=ドルゴルスレン・セルジブデ氏)が取材に応じ、おいの能力に太鼓判。現状打破に向けて、豊昇龍にハッパをかけた。

 豊昇龍は新横綱だった春場所で、右ヒジの故障もあり途中休場。夏場所は千秋楽で大の里の全勝優勝こそ阻止したものの、場所後は歴史的なスピード昇進を遂げた大の里の祝賀ムード一色となった。豊昇龍は「苦労もあったし、いいこともあった。毎日成長できるように、勉強してやっている」と横綱昇進後の日々を振り返る。名古屋場所(7月13日初日、愛知・IGアリーナ)に向けては「2人横綱になったので、先輩横綱としても気合を入れてやる」と闘志を燃やした。

 この日の披露宴には、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や大の里ら約1100人が出席し、ウルフ氏もモンゴルから来日して参加。2001年から5年間、新日本プロレスに所属していたが、現在は母国を拠点にインフラ関連の仕事をしているという。その叔父は、豊昇龍の素顔について「土俵では集中しているけど、土俵を下りるといつも通りの叔父とおいの関係になる。横綱になっても変わらないし、ずっと優しい」と明かす。

豊昇龍の横綱昇進披露宴に参加したブルー・ウルフ
豊昇龍の横綱昇進披露宴に参加したブルー・ウルフ

 幼少期から柔道とレスリングの競技経験がある豊昇龍は、15年に千葉・柏市の日体大柏高にレスリング留学。来日直後に大相撲を観戦したことがきっかけで、同校の相撲部に転部した。過去にプロレスラーとして活躍したウルフ氏は「豊昇龍は小さいころから柔道、レスリングをやっていて運動神経がいい」と指摘。その能力の下地は、生後まもなくから培われたものだという。

「モンゴルでは車の代わりに馬で移動する。毎日、家畜の管理をしないといけないので、馬が絶対に必要。豊昇龍は馬がすごく好きで、乗るのも上手だし、3歳のころから1人で乗っていた。よく草原で横に並んで一緒に移動したし、夏は毎日、馬に乗って一緒に5~10キロ走った。夏になるとすぐに草原に行って、遊牧民とほとんど同じ生活をしていた」と驚きの事実を証言。〝遊牧民生活〟で自然に身についた感覚が、土俵上で発揮される高い運動能力や反射神経につながっているようだ。

 その上で、ウルフ氏は豊昇龍に向けて「これからも、とにかく優勝を目指して一番一番、頑張ってほしい。横綱という地位に満足せず、(日本の)皆さんの期待に応えられるように、優勝を積み重ねてほしい」と奮起を促した。名古屋場所で主役の座を奪い返し、先輩横綱の意地を見せることができるか。