米カリフォルニア州ロサンゼルス全域で不法移民摘発と軍の駐留拡大に抗議する反トランプ、反ICE(移民・税関捜査局)デモ参加者の一部暴徒化を受け、カレン・バス市長は10日、市中心の約2・5平方キロの区域に夜間外出禁止令を出した。海兵隊員700人が同日、現地に入ったという。禁止令は数日間続くとみられる。

 カリフォルニア州のニューサム知事は同日、トランプ大統領による4000人の州兵と700人の海兵隊の派遣について「私たちのコミュニティーを守っているのではなく、私たちのコミュニティーにトラウマを与えている」と非難したが、トランプ氏は派遣の正当性を主張している。

 ロサンゼルスのデモは6日、ICEの捜査に対して始まった。7、8、9日に一部が暴徒化。10日もデモは続き、市警は不法移民の疑いのある200人近くを逮捕した。現在、デモはシカゴ、ニューヨーク、アトランタなど各地に広がっている。パレスチナ、メキシコやエルサルバドルの国旗を振る人もいれば、バイデン政権時代に右翼団体が伝統的に使用していた逆さまの米国旗を掲げる人もいた。

 トランプ氏は一貫して不法移民の存在を認めていないが、米国は不法移民の存在なしにはいられなくなっている。

 米メディア「アクシオス」は「推定1400万人の不法移民がここに居住しており、その多くは就労し、納税している。彼らはしばしば、ホテル、建設現場、造園、保育など、米国人が就かないような仕事をしている。彼らを追放すれば、一部の企業は倒産し、多くの地域でサービスが停滞し、多くの米国民にとって身近な打撃となるだろう」と報じた。

 トランプ氏が不法移民を国外追放することを米国民は認めつつあるという。

 最近行われた「CBSニュース/ユーガブ」の世論調査では、不法移民の強制送還プログラムに対する支持が54%だった。その後、一部が暴徒化したことで、トランプ氏が州兵と海兵隊を派遣するという強い意思を示したため、支持率はさらにアップするとみられている。

 米国事情通は「今後トランプ氏は、軍の権力を利用して移民取り締まりを強化し、さらには、民主党の〝支配地域〟を攻撃するとみられています。ロサンゼルスは民主党が強いですが、トランプ氏は『無政府状態』と呼び、州兵、海兵隊を送り込んでいます。さらにニューサム知事の逮捕を示唆しています。ロサンゼルスの地方自治権を排除して、連邦政府が握る〝実験場〟だと考える識者もいます。今後、デモが一般市民にまで拡大するか、派兵によっておとなしくなるかで、トランプ政権が軍事独裁傾向を強める可能性も想定されます」と指摘する。

 トランプ氏は自身の誕生日である6月14日にワシントンDCで軍事パレードを行うが、果たしてこのデモはどうなるのだろうか。