金星乱発だ。大相撲夏場所4日目(14日、東京・両国国技館)、横綱豊昇龍(25=立浪)が平幕の阿炎(31=錣山)の引き落としに屈して2日連続、通算5個目の金星配給。横綱初優勝へ向けて、早くも暗雲が垂れ込めた。初日から連勝スタートを切った横綱に、いったい何が起きたのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)が、豊昇龍の〝異変〟を指摘した。

 豊昇龍が2日連続で平幕力士に屈した。阿炎のもろ手突きに大きくのけぞると、すぐさま引かれてバッタリと土俵に落ちた。取組後は報道陣の取材に応じず、国技館を後にした。春場所は右ヒジの故障で途中休場。新横綱で金星3個を配給し、昭和以降で最多に並ぶ不名誉記録も残した。汚名返上を期す今場所は、初日から連勝と上々の滑り出しを見せていた。

 しかし、3日目からまさかの連敗。にわかに雲行きが怪しくなってきた。この日の豊昇龍の相撲内容について、秀ノ山親方は「阿炎のもろ手突きを警戒するあまり、立ち遅れてしまった。阿炎の術中にはまった感じ。好調時の豊昇龍であれば、相手の突き手が伸び切らないうちに、鋭い踏み込みから先手を取れていたはず。考えすぎて、気持ちが受け身に回っていた」と分析する。

 その〝伏線〟となったのが、前日3日目に幕内王鵬(25=大嶽)に喫した黒星だ。秀ノ山親方は「豊昇龍は前日に負けたことに加えて、合口の悪い阿炎(この1年は1勝4敗)と当たったことで、余計に硬さが出た。仕切りでは気迫が感じられたけれど、その気合が空回りしていた印象。負けられないという重圧や焦りが、立ち合いの迷いにつながったのでは」と指摘した。

 かたや、今場所で綱取りに挑む大関大の里(24=二所ノ関)は無傷の4連勝。序盤の段階で星の差は2つに広がった。師匠の立浪親方(56=元小結旭豊)は、豊昇龍の右ヒジの状態について「痛みはない」と説明。新横綱の場所は途中でリタイアしているだけに、簡単に勝負を投げ出すわけにはいかない状況にある。

 秀ノ山親方は「場所前に良い稽古をして、自信を持って初日を迎えたと思う。持ち味のスピード、技のキレ、厳しい攻めは誰にも負けないものを持っている。あれこれと余計なことは考えずに、立ち合いの踏み込みだけに集中すること。自分の本来のリズムさえ取り戻せれば、おのずと結果はついてくる」と巻き返しへ向けてアドバイスを送った。

 果たして、豊昇龍は15日間を全うして賜杯にたどり着くことができるのか。横綱2場所目で、早くも正念場を迎えた格好だ。