フィギュアスケートのアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」(5月31日、6月1日=千葉・幕張メッセ)には、2018年平昌五輪女子金メダルのアリーナ・ザギトワ(22)、22年北京五輪女子金メダルのアンナ・シェルバコワ(21=ともにロシア)が出演する。日本で2人が演技するのは19年以来6年ぶりとなるが、複雑な世界情勢下での起用には疑問の声も上がっている。

 国際スケート連盟(ISU)はウクライナに軍事侵攻を続けるロシアと同盟国ベラルーシの選手を22年3月から除外。直近の24~25年シーズンもロシアとベラルーシの選手は国際大会に出場できなかった。26年ミラノ・コルティナ五輪は「個人の中立選手」として予選の出場を容認した一方で、団体戦の出場は認めていない。すでに一部の国際連盟(IF)は条件付きで国際大会の復帰を許可したが、ISUは依然として厳しい姿勢を貫いている。

 ISUの見解と異なる主催者側の行動には、多くの関係者が反応。あるアイスショー関係者は「ザギトワさんやシェルバコワさんに罪はない」と前置きした上で「ISUが『ロシア、ベラルーシ勢を出さないよ』と言ってきたのに、いくらアイスショーだからと言ってもロシアの選手を日本に呼んでいいのか」と困惑。さらに「停戦交渉も進んでないし、現在も多くの人が亡くなっているニュースが飛び込んでくるのに、集客のためにロシア勢を呼ぶのは違うのでは。せめて軍事侵攻が落ち着いてからでないと」と表情を曇らせた。

 主催者側によると、4月下旬には出演予定だったアダム・シャオイムファ(フランス)が「フランスで開催される全競技選手による五輪キャンプとの日程が重なり、ファンタジー・オン・アイスへの参加をキャンセルせざるを得なくなりました」と欠場を発表。しかし、あるフィギュア関係者は「もし本当にこの理由で参加できないなら、もっと早くわかるのではないか。ロシア勢が参加するから辞退したのではとの噂もある」と証言するなど、不穏な空気が漂っている。

 今回のアイスショーには、女子で22~24年世界選手権覇者の坂本花織(シスメックス)、男子で世界ジュニア選手権覇者の中田璃士(TOKIOインカラミ)、同23年世界選手権銀メダルの車俊煥(韓国)ら国内外のスケーターが競演。ミラノ・コルティナ五輪シーズンを前に、大きな騒動にならないことを願うばかりだ。