滋賀県といえば、東海道、中山道、北国街道が走り、関西と関東、北陸を結ぶ交通の要所です。また、琵琶湖の水運が利用できたため、近江商人が生まれ、発展したといわれる土地です。

 そうした伝統的な商人気質とでもいうのでしょうか。勤勉で努力家、そのうえに情報に基づいた先見性に富んでいます。

 今の滋賀県人は、どちらかといえば、豊かな環境に恵まれて平穏に落ち着いた生活を楽しんでいる印象が強いのですが、別に気質が変わってしまったわけではありません。

 どういうことかといえば、近江商人として名をはせた人々は、近江を飛び出し、積極的に日本各地に進出しました。一方、居残り組は、昔も今も近江の地を離れず、のんびりした暮らしを楽しんでいるというわけです。

 他県人から「がめつい」「計算高い」と言われることがありますが、近江商人の家訓には「三方よし」の精神があります。「商売とは、売り手、買い手、世間の三つが揃って満足すること」というバランス感覚を持っていた近江商人の精神は、決して利益は独り占めせず、社会に還元してこそ生きるという考え方に基づいています。

 礼を重んじ、秩序を大切にする面があるため滋賀県人と付き合いたいと思ったときは、軽いノリで近づいても見向きもされません。段階を踏んで、筋を通してからでないと、なかなか関係は築けないでしょう。

 ◆平川陽一 早稲田大学卒。主に歴史ミステリーの分野で活躍。著書に「世界遺産・封印されたミステリー」「戦争で読む日本の歴史地図」「日本列島 名城の謎」などがある。