【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#573】光を発する生き物というと、ホタルの他には深海のクラゲのような生物が真っ先に思い浮かぶ。UMAの中にも、パプアニューギニアの「ローペン」やソロモン諸島の「ドラゴン・スネーク」のように、発光して飛行する姿が記録されているものがある。今回紹介する「ユーコンテリウム」も光るUMAの一つとして数えられるだろう。

 ユーコンテリウムは、カナダのユーコン準州や米国のアラスカ州を流れるユーコン川流域に出没すると言われるUMAである。先住民イヌイットによって古代から語り継がれている存在であり、目撃すると幸運をもたらす神獣として信仰されていたという。肉食でビーバーを襲うことがあり、別名「ユーコン・ビーバー・イーター」とも呼ばれている。

 全長はおよそ8メートルでグリズリーよりも大きく、四肢に巨大なカギヅメを持ち、頭部はポニーに似ていて、前方にせり出した細く短い2本の角があるという。最大の特徴は、その全身が虹色に光り輝いているということだろう。

 1933年、イヌイットのドキュメンタリー映像を撮影していたクルーが、滞在6日目に突然、長老から撮影中止を申し出された。長老によると、前日に村の若者が数年に一度しか現れない神獣を目撃しており、部外者がいると御利益が得られないというのだ。

 また1939年、森林地帯にカナダの飛行機がエンジントラブルのため不時着した。搭乗員たちが機内で救援を待っていると、深夜に獣の咆哮のようなものが聞こえた。外に出ると、そこには暗がりで木々をへし折りながら歩行する白っぽい謎の巨大生物がいたのだという。夜が明けると、周辺には折れた枝が散乱しており、直径90センチメートル、深さ30センチメートルもの円形の足跡が残されていたというのだ。

 さらに1943年、J・バルスナッツという人物が、ユーコン川で釣りをしていたところ、対岸に8メートルはあろうかという巨大生物が、オレンジと緑色の光を放ちながら岩地を歩いていたのだ。しばらくすると、その生物は息を吐きながらゆっくりと森の奥へ去っていったという。

 そして近年の例では、1980~90年代にユーコン川近隣のタチュン湖にて、ボートで釣りをしていると長い茶色の毛を持った巨大生物がボートに近づいてきたというような報告もある。

 ユーコンテリウムの正体については、1万年前に絶滅した「メガテリウム」や「エレモテリウム」の生き残りではないかという説がある。両者は巨大なナマケモノの一種であり、メガテリウムは、樹上で生活をしない地上性のナマケモノとしては最大級の大きさを誇っていたものであったという。

 しかし疑問は残る。メガテリウムやエレモテリウムは二本足で立ちあがり、前足のカギヅメで枝を引き寄せ、その葉を食べていたと言われている。一方、ユーコンテリウムはビーバーを食していたことから肉食と考えられているため、この食性の違いからユーコンテリウムは全く別の生物なのではないかとも考えられている。

 ただ、1996年に発表されたウルグアイのレプブリカ大学の論文では、かつての巨大ナマケモノは雑食である種もおり、メガテリウムはグリプトドンなどの大型獣を狩っていた可能性もあったという。そのほか、生き残ったものが現代までに草食から肉食に進化していった可能性もあり得るのではないかという主張もある。

 いずれにせよ、ユーコンテリウムの正体については決着がついていない。何よりも、虹色に光っているというような点についてはほとんど言及されることがなく、そのメカニズムや原因も全く不明だ。見ると幸運を呼ぶ生物ということであるが、ぜひお目にかかってみたいものである。