最近、企業のトップや役員、役所の人事部局責任者から、「Z世代という最近の若者はわからん。学歴はいいし、いろいろな資格も持っているのに、やる気がない。どうしたらいいと思うか」という相談を受けることがよくある。
Z世代について明確な定義は存在しないが、1990年代末から2010年代初期に生まれた人々を指すようだ。現在14~35歳くらいの人たちだ。
筆者は世代で人にレッテルを貼るのが好きでないので、まず「私は1960年生まれですが、大学生の頃は『あんたたち新人類に属する若い人たちはわからない』とよく言われたものです。老人にとって若者は永遠の謎なのでしょう」と答えている。
それに加えて、「現在の大学生・院生、20代から30代半ばまでの人々の内在的論理を見事に表現しているのが、麻布競馬場さんの『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)です。企業や官庁の幹部と人事担当者にとって必読の参考書です」と言って、この本を薦めている。
メインとなる沼田さんなる人物が慶應義塾大学に在学していた2016(平成28)年からベンチャー系企業に入り、さまざまな出来事に巻き込まれ、2023(令和5)年にはとらえどころのない隠遁者のようになってしまう様子を描いている。
大学時代、沼田さんはビジコン運営サークルに入るが、物事を斜めに見る癖がすでについている。ベンチャー系企業に就職した動機も「総務部あたりに配属になって、クビにならない最低限の仕事をして、毎日定時で上がって、そうですね、皇居ランでもしたいと思ってます」というものだ。にもかかわらず、総務部では大きな成果を出し、登竜門である新人賞を受賞した。その後、沼田さんは会社を辞めてしまい、絶滅危惧種のような銭湯の再建事業にボランティアとして協力する。
沼田さんには世の中の構造が見えるので、努力しても行き着く先がすぐにわかってしまう。だから何事にも情熱を持って臨むことができない。何もやりたいことが見つからない自分も、一見、理想と情熱を持っていることを装う同世代の「熱い人々」もくだらないと軽蔑している。そしてこういうくだらない人間しかいない日本社会に対する沼田さんの激しい怒りは、心の中で押さえつけられ諦めに変わっているように見える。
しかし、沼田さんは諦めているのではなく、我慢しているのだ。Z世代の我慢が50代、60代には無気力に見えるのだ。












