【銀の盾に聞いてみた】ゲームをクリアするまでの時間を計測し競うコンテンツ「RTA」の国内最大イベント、「RTA in Japan」の代表理事、もか氏へのインタビュー。後編では人気を爆発させたというゲームタイトルから、年末に開催されるイベントの裏側まで、じっくりと話を聞いた。
――それでは人気が上昇したもう1つのターニングポイントも教えてください
もか氏(以下もか)コロナ禍でオフライン開催ができなくなった時期のことなのですが、2020年の『リングフィットアドベンチャー』(Nintendo Switch専用のフィットネスソフト)のRTAです。このRTAを「RTA in Japan Summer 2021」の最後のタイトルとして放送したのですが、約18万人の方に同時に見ていただきました。いまだにこの同時視聴者数は塗り替えられていません。
――伝説的な動画ということですね
もか そうですね…。偶然プレイヤーの友人にフリーアナウンサーの田口尚平さんがいらっしゃって、実況を担当されたことも印象に残っています。この1つ前のタイトルでは視聴者が10万人に届いたくらいだったので、ここで一気に8万人増えたんですよ。『リングフィットアドベンチャー』を機に、チャンネル登録者数もさらにグンと伸びた印象がありますね。
――コロナ禍で視聴者数や登録者数の増加にブレーキはかからなかったのですか?
もか 実際にはより伸びた、という方が正しいと思います。現に『どうぶつの森』効果で同時視聴者が3倍になったということは紹介しましたが、翌年の2020年は、自粛期間中ながら前年の倍にあたる5万人に到達しましたから。
――長くイベントの開催を続ける上で、取り上げられるゲームのトレンドも変わっているのでは?
もか リアルイベントを始めてからはそこまで変わっていないのですが、実は2000年当初のRTAという概念が生まれた頃は、RPGばかりだったんです。
――そこにはどのような理由が…
もか 昔はユーチューブ等の動画配信サービスもなかったので、アクションゲーム等を「こうやって早くクリアしました」と発表しようにも、証明ができなかったんですよ。それに対してRPGは、「レベル1でここまで進んで、弱い敵を5体倒してからボスに向かいます」といった形で、流れを全て文章で表現することができるんです。
――再現性があるということですね
もか 「自分が走ったRTAは、全てテキスト形式のリポートで公開しなければならない」という文化もあったので、本当に当時はRPGばかりでした。
――では、動画配信サービスがRTAの風潮を変えたということでしょうか
もか 動画で記録できるようになったことで、いろんなゲームがRTAの対象になったという点は大きな変化でした。加えて動画・配信を見てもらえるようになったことで、人気も爆発的に広がりました。
――将棋では〝観る将〟のような観戦メインのファンが増えていますが、RTAも配信を楽しむ〝観るTA〟の方が多いのですか?
もか 見ることが中心のファンの方は増えていますよ。視聴者が激増した翌年、正直「RTA in Japan」の運営側としては、RTA走者の応募も3倍くらいになるのではないかと思っていたんです。ですが実際の応募総数は1・5倍程度に収まったので…(苦笑)。実際にやるとまでは行かなくとも、見ることが専門のファンが増えたんだなと実感しました。
――最近はストーリーが〝一本道〟ではないオープンワールド形式が流行し、冒頭からボスに挑めるようなゲームも増えています。その点はRTAコミュニティーに影響しているのですか
もか そこはあまり影響を感じていないですね…。様々なジャンルのゲームに取り組まれている方が多いので、オープンワールドのゲームもあくまでその中の1つ、という位置付けです。しかしながら一気に壁を飛び越えて進んでしまうようなグリッチ(ゲームの仕様や不具合を活用した裏技)が多いので、見ていて派手な印象を持たれる方は多いかもしれませんね。
――それではもかさんの中でも印象に残っている動画があれば教えてください
もか これはひいきになってしまうこともあって、運営側からは言いづらいですね…。「人気の動画」を紹介しようにも、アーカイブを見た方からじわじわ評価されることもあるので、一概には言えなくて…。
――例えばどのようなタイトルが〝ジワ伸び〟を?
もか 今ユーチューブで一番再生されている、『スーパードンキーコングシリーズ』の3作目までを続けて完全クリアするという動画はその一例です。当時のイベントで一番人気があったRTAではあったものの、その後も継続して評価を集め、総再生回数が300万回を突破したんです。前提としてどのRTAもすごい内容だとは思っていますが、我々の想像以上の反響があったことは確かですね。
――26日からは「RTA in Japan Winter 2023」が開催されます。開催にあたって意識されていることはありますか?
もか イベント全体として、様々なジャンルのゲームを配置するようにしています。いつから見始めても常に新鮮なRTAが見られるという点は見どころではないかと思いますね。同じゲームタイトルでも、走者の方が方法を改良されたりしていますし、新しい要素の詰まったイベントにしたいなと考えています。
――今回のイベントで新しく変わる部分があれば教えてください
もか それで言いますと、今回はこれまでで一番広い会場を借りました。そのため登録をして、注意事項に合意していただける方であれば、どなたでも入場できるイベントになっています。ぜひ多くの方にお越しいただいて、会場から湧き上がる拍手の音等もしっかり収録していきたいですね。
――6日間という非常に長いイベントの中で、多くの方がRTAを披露されますね
もか 出場の倍率としては、応募があったRTAの総プレイ時間と、実際にイベントで用意できた枠から算出すると10倍くらいになるんです。それだけの倍率を乗り越えた方が披露されるので、こちらとしては全てのRTAが〝オススメ〟です。
――ちなみに出場者はどのように選出されているのですか?
もか イベントとして進行する以上、タイムの早さはかなり意識しています。面白い方を優先的に選んでいるのではないかと思われることもありますが、応募の時点で送られてくるRTAの動画では、面白いかどうか分からなくて…。
――応募動画に自己PRや解説は入っていないのですか?
もか 応募の段階でトークを挟んでいる方はほとんどいないですね(笑い)。皆さん計測用のタイマーとゲーム画面だけが映った、〝硬派な動画〟を送ってこられるので…。その中でタイムを重要視して選考すると、自然と毎回面白い方がいらっしゃる、ということですね。
――最後に意気込みがあれば教えてください
もか 運営としてまずはノートラブルを徹底するということを目標にしたいですね…。その上で既にスケジュールは公開しておりますので、今回初めて視聴するという方も、まずは好きなゲームからRTAの世界に触れていただけたらうれしいです。
【RTA in Japan】ゲームをクリアするまでのタイムを競う「RTA(Real Time Attack)」の愛好家が集う、国内最大のリアルイベント。公式ユーチューブチャンネルは40万人超の登録者を有する。26日からは「RTA in Japan Winter 2023」が、ベルサール飯田橋ファーストで開催予定。
公式HPは【https://rtain.jp/】。















