ボートレース住之江のSG「第38回グランプリ」が19日、熱戦の火ぶたを切る。暮れの大一番を目前に、ボートレースファン歴45年の元天才ジョッキー田原成貴氏(64)も興奮を隠せない。グランプリの〝忘れ物〟を取りに行くスーパースター・峰竜太への思いを語りつつ、最高峰のレースを演出する「運命のルール」を大絶賛。人生そのものと言ってもいいボートレースグランプリの魅力を熱くつづった。
【田原成貴氏が熱く語る】レコード大賞、紅白歌合戦、ゆく年くる年。日本における暮れの三大風物詩だが、最近ではその風潮も薄まってきた気がする。しかし、私の中で不変の三大風物詩は「有馬記念」「ボートレースグランプリ」「KEIRINグランプリ」。この3つのレースで勝負しないことには一年のケリがつかない。中でもボートレースグランプリは特別な存在だ。水上の熱戦を見詰め、自分の1年間を振り返りながら舟券に思いを託す。そうしないとスッキリと年を越せないのだ。
出場選手の中にも優勝しないとスッキリしない者がいる。その男はスーパースター・峰竜太。ダービーの前に対談した際は「忘れ物」という表現を使った。転覆事故で3連単不成立、41億円の返還となった2年前の悪夢。彼は地獄を見た。ずっと引っ掛かっていただろうし、今も頭の片隅にあるはずだ。それを払拭し、再び栄光の黄金のヘルメットをかぶる姿をオレは待っている。いや、そう信じている。彼の人生は本当にドラマチックだ。
ドラマといえば、ボートレースグランプリのルールにもオレは魅力を感じている。それは「抽選方式」だ。考えてみてほしい。1走目こそ賞金順に枠番が割り振られるが、それ以降の枠は完全に「運」。1年間も頑張ってきて、勝敗を大きく左右する枠順が抽選で決まるのだ。ボートレースを知らない人は「え? マジで?」と驚くだろう。競馬も枠番は大事だが、ボートレースの枠番の重要性は比較にならない。特に実力とエンジン力が拮抗した大舞台ではなおさらだ。その大事な要素が運で決まってしまうのだから、結果次第では「不公平」「理不尽」と感じる人もいるだろう。しかし、オレは強く思う。この方式にこそ人生の悲哀が凝縮されている、と。
考えてみれば、人生なんて運のようなものだ。たった一つの出会い、わずかな失敗がその後を大きく変える。そう、人生はサイコロだ。だからこそ覚悟をもって天命を受け入れる必要がある。理不尽な運命を乗り越え、幸運が巡ってきたら絶対に逃さない。1枠を引いたら「ラッキー!」と無条件で喜び、6枠を引いたとしても「別のところで運が向くはずだ」と前向きになればいい。どんな状況でもプラスに考えられる者が最後に笑うのだ。
ファンの皆さん、ぜひグランプリで1年を清算し、来年の運を試してほしい。それにしても抽選ルールをつくったモーターボート競走会はジーニアスでファンタスティック。最高峰の戦いの裏に、最高の演出が隠されているのだ。












