オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第165回は「ゆきよし様」だ。

 ある地方の山間部で祀られている土着信仰の神様である。巨大な蚕の姿をしているといわれている。その辺は昔から養蚕が盛んであり、地元には蚕霊碑という碑文が建てられていた。

 地元では、男女の境なく4、5歳になると「蛾」という名前のあやとりを教えられた。これは魔よけの一種である。

 山中に行くと突然、頭が重くなってくる。これはゆきよし様が後頭部にのしかかってくるからだとされた。そのままだと、山道のそばにあるやぶに倒れ込んだ状態で、そのまま息絶えてしまうという。

 こんな状況に陥った時は、あらかじめ持っていたあやとり状のヒモを取り出し、大人から教えられた蛾を作り、素早く断ち切ると良いとされた。

 ゆきよし様はもともと南北朝時代の高貴な身分の方らしいが、それがなぜ巨大な蚕の姿をしているのかは謎である。

 蚕の神様といえば、「おしら様」が思い出される。これは30センチぐらいの人形で、桑の木で馬と女性を作り、祀ったものである。