東京・神宮外苑の再開発を巡って国際記念物遺跡会議(イコモス)から計画撤回を求めるヘリテージ・アラートが出ている件で21日、イコモス関係者が小池百合子東京都知事に反論した。

 3月に亡くなった音楽家の坂本龍一氏や作家の村上春樹氏が再開発に反対したのに続き、サザンオールスターズも新曲「Relay~杜の詩」でこの問題をテーマにするなど、慎重論が盛り上がっている。

 再開発では神宮球場と秩父宮ラグビー場が場所を入れ替えて建て替えられ、高層ビルも建つ。それに伴い多くの樹木が伐採されることに批判の声が高まっているのだ。

 7日には国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関であるイコモスからヘリテージ・アラートが発出。15日に会見したイコモス関係者は計画の即時中止を求めていた。これに対して、小池氏は同日の定例会見で「かなり一方的な情報しか入っていないのではないのか」と違和感を唱えていた。

 21日に日本外国特派員協会で会見した日本イコモス国内委員会の岡田保良委員長は本紙に、「小池氏がおっしゃったのは言い換えれば東京都は(アラートを)無視しますよということなんですね。われわれとしては1年以上かけて何度も何度も東京都に対話を求めてたのに、それを拒絶したのは東京都の側だとぜひ申し上げたかったです」と反論した。

 同委員会は急にヘリテージ・アラートを出したわけではなく、1年にわたって都の関係部局に接触してきた。「どうしてもいい反応がなかったから、国際アラートにいくしかないと6月くらいから準備してきた」(同)

 これから小池氏に期待することは何か。「対話してほしい。東京都は話は聞いてくれるが、『事業者に伝えます』『知事に伝えます』で対話ではなかった」と岡田氏は訴えた。