【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#533】山形県鶴岡市大鳥池に伝わる「タキタロウ」、蝦夷の東海側に現れるという「オキナ」、東京都内の江戸川で目撃が相次ぐ「エディー」、日本にはなんと巨大魚の伝説が多いことだろう。
それらは、時に捕獲され食されたとも言われ、時に生物どころか島のようだと伝わり、さまざまな形でわれわれのド肝を抜く迫力がある。今回紹介する新潟県糸魚川の「ナミタロウ」も幻の巨大魚と呼ばれる存在だ。
新潟県糸魚川市にある高浪(たかなみ)の池は、標高540メートルの白馬山麓にあるカルデラの池であり、外周1キロメートルで、深さは13メートルほどの小さな池である。そんな小さな池に、2~5メートルほどといわれる巨大魚の存在が報告されているのだ。
この巨大魚は前述のタキタロウが有名であったことにあやかり、ナミタロウ(浪太郎)と名付けられた。文献などで「地元では『翠(みどり)』という愛称でも親しまれている」と紹介されていることもあるが、この翠という名前は、実際にはナミタロウと別個体のよう。いわばオスの浪太郎、メスの翠とそれぞれの愛称として名付けられているとみられる。
さて、この池になぜこのような巨大魚が住みついたのか、それには諸説ある。戦時中に中国から移入され各地で放流されたコイの仲間ソウギョが巨大に成長したものではないかとも言われている。また、ある逸話によれば、150年ほど前に地元の若者たちがコイを放流し、それが3メートルもの大きさに成長して池の主になったというものもある。1950年には、それを裏付けるかのように、炭坑の作業員が体長2メートルにもなるコイを捕獲したという記録が残っているという。
1966年には、当時の池の管理者であった人物が巨大な魚を目撃しており、1983年にはその人物によって巨大魚の魚影が撮影された。証言によると、泳ぎ方はソウギョに似ていたが、体長4・5メートルほどあり、なんと3尾であったという。つまり、この池には巨大魚が複数匹生息している可能性があるのだ。
釣り人による目撃情報が増えつつあったナミタロウは、次第に観光の目玉として注目され、1989年には、糸魚川市の観光課によって「巨大魚フェスティバル」が半年にわたり開催された。イベント期間には、ナミタロウの撮影に賞金もかけられていたのだが、なんとそのイベントのさなかに、地元民の男性が1メートルはあろう背びれを持つ巨大魚の撮影に成功し、見事に賞金を得た。
ナミタロウのような巨大魚が本当に生息しているのかについては、かつてダイバーの調査も行われたようだが、一面に生い茂る水草に邪魔されたため、水中撮影はかなわなかったという。また、ソナーによる調査の要望も少なからず出されたようだが、市がこれを拒否したともいわれている。単に予算の都合なのか、それともロマンを残すために本格的な調査を退けたのか、それは分からない。












