初の大台到達だ。巨人・岡本和真内野手(27)が15日の中日戦(バンテリン)で、自己最多を更新する40本塁打をマークした。すっかりチームの顔となり、今季からは主将にも就任。それでもユーモアあふれる〝天然キャラ〟は健在で原辰徳監督(65)から命名された「若大将」の対抗馬として、にわかに「おにぎり君」も浮上している。

 屈辱を晴らすかのような一発だった。前夜は阪神に眼前で胴上げを決められた。そして1点リードの4回に相手先発・仲地の初球をぶったたき、弾丸ライナーで左翼席にぶち込んだ。主砲の一打が呼び水となり、この回だけで3発のソロが飛び出し、7―0で快勝した。

 連敗も3で止め、岡本和は「うれしい気持ちもありますし、また明日勝てるように頑張ります」と話し、原監督からは「あと10本くらい打ってほしいね」と上積みを期待された。残り13試合となり、3位・DeNAとは2・5ゲーム差。CS出場へ、主砲が2戦連発と調子を上げてきたのは追い風だ。

 今春にはWBCに出場し、悲願の世界一に貢献。開幕後もフル回転を続けられるのは元来のタフネスぶりに加え、オトボケぶりも一因だろう。その一つが〝おにぎり事件〟だ。

 7月5日に同球場で行われた中日戦では、延長12回の打席で右手に死球が直撃。同様のケースで骨折を隠したまま強行出場した過去があっただけに、試合直後の報道陣の視線は右手に注がれた。

7月5日の中日戦で、右手首に死球を受けた岡本和
7月5日の中日戦で、右手首に死球を受けた岡本和

「折れていないので大丈夫です」。それはそれでいいが〝天然男〟は右手をアイシングしていなかったばかりか、おにぎりを持っていたのだ。いったい、なぜこのタイミングでおにぎりが…。後日、本人に謎の行動を直撃してみるとこんな答えが返ってきた。

「〝荷出し〟(荷物出し)やったから左手でかばん持っていたでしょ? だから右手で(おにぎりを持っていた)。夜遅かったし、次の日は朝が早かったし。(宿舎の)食事会場にも行かんし、何か食っとかなあかんと思って」

 ナイターで行われた試合は4時間44分に及び、翌日は早朝に帰京する予定だった。とっとと寝たいがために、球場の選手サロンからおにぎりを拝借してきたわけ。これにはチームスタッフも「これぞ和真ですよね。『若大将』もいいけど『おにぎり君』もいいですね」と笑いをこらえ切れなかった。

〝おにぎりパワー〟もあって40発に到達した岡本和は、2年連続Bクラスの危機を救えるか。