公益財団法人結核予防会理事長の尾身茂氏が14日、都内の日本記者クラブで「コロナ対策医療専門家有志 会見」に出席した。

 1日に「新型インフルエンザ等対策推進会議」のメンバーを刷新し、新型コロナウイルス対策で政府の有識者会議のトップを務めた尾身氏は8月末に退任。尾身氏は「記者会見で話すのは今日が最後になると思います」とあいさつした。

 3年半の活動を振り返り「今回の感染対策は私がこれまでに経験した中で最も難しいものでした。新型コロナは無症状、潜伏期間中の人でも感染させるため、いわゆるゼロコロナは当初から難しいと判断していました。さらに、ウイルスや感染状況の変化に応じて対策を変える必要があったことも対策を難しくした要因でした」と振り返った。

 一方で現在、新型コロナの感染者が増加傾向にあり第9波の到来を指摘する声も上がっている。現状について尾身氏は「全国的にピークには達していません。医療の現場に負荷がかかっているのも事実。この冬にかけては少し気掛かりだと思っています」と憂慮した。

 続けて「この病気は多くの若い人は感染しても重症化しないという意味では安心できる病気ですけど。しかし後遺症という問題がある。まだコロナは完全に終わったワケではない」と話した。