立花孝志氏が昨年の参院選前に出演した「報道ステーション」(テレビ朝日系)で、表現の自由などが侵害されたとして、テレビ朝日と番組MCの大越健介キャスターに損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は31日、請求を棄却した。

 昨年6月16日に生放送された報ステでは参院選を控え、9党党首による党首討論が行われた。当時、NHK党党首だった立花氏はテレ朝側から「テーマから逸脱する発言があった場合はしかるべき対応を取る」と事前通告されていた。

 安全保障を巡るテーマで立花氏は「テレビは核兵器に勝る武器。国民を洗脳する装置。テレビは国民が知るべき真実を隠している」と話し、テレ朝側から圧力ともいえるやりとりがあったことに触れると、大越氏から「発言をやめてください」「打ち切らせていただきます」と発言機会を奪われ、自主的に退席していた。

 立花氏は「他の政党の党首との間に不公平に扱ったことは編集権を逸脱して、政治活動の自由および表現の自由を侵害された」とテレ朝と大越氏に共同不法行為があったと訴えていた。テレ朝側は「放送の自由に基づく編集権の行使として正当なもの」と主張していた。

 判決は「大越氏が立花氏の発言に介入し、妨害したということはできない」と判断。また安全保障をテーマにしている中で「テーマ以外の事項について自由に発言することが許容されているものではなかったということができる。発言を制止したことは必要かつ相当な行為であった」とテレ朝側の対応に問題はなかったとした。

 立花氏は「僕が話した『テレビは核兵器に勝る武器』は国防に大きく影響している。『テレビは真実を伝えない』と深い回答をしているのに裁判所はうわべだけで、立花が悪いという」と話し、控訴する意向を示した。