V逸なでしこジャパンに待ち受けているのは〝イバラの道〟なのか。サッカーのオーストラリア・ニュージーランド共催女子W杯準々決勝(11日、オークランド)で日本はスウェーデンに1―2と敗れ、2011年ドイツ大会以来の優勝を逃した。今大会では強豪スペインに圧勝するなど再建への光明が見えた一方で、元日本代表FW武田修宏氏(56=本紙評論家)は今後に待ち受ける日本女子サッカー界の不安を指摘した。
なでしこらしいサッカーは見せた。だが、世界の壁は想像以上に高かった。スウェーデンは決勝トーナメント1回戦で優勝候補筆頭の米国を破り、国際サッカー連盟(FIFA)ランキングでも3位と格上の相手。そんな強豪に対して前半は日本が誇る強力攻撃陣が鳴りを潜め、シュートはまさかのゼロに終わった。32分にはFKからの混戦でFWアマンダ・イレステットに先制点を決められるなど終始攻め込まれた。
後半3分にもMF長野風花(リバプール)のハンドで献上したPKを決められて、2点のリードを許す苦しい展開。しかし、ここから日本が大逆襲を開始する。後半31分に途中出場したFW植木理子(日テレ東京V)が鋭いドリブルから倒されてPKを獲得。だが、キックはバーに当たって失敗してしまう。
同42分にもMF藤野あおば(同)のFKがバーに直撃。それでも諦めない日本は43分にMF林穂之香(ウェストハム)のゴールでついに1点をもぎ取ると、10分間のアディショナルタイムも猛攻を続けた。しかし惜しくもあと一歩及ばず、無念の8強敗退となった。
主将のDF熊谷紗希(ローマ)は「結果がすべて。負けて終わっちゃったのは本当に悔しい。絶対自分たちにチャンスがあった。もう少しみんなとやりたかった…」と泣き崩れた。
目標に掲げたV奪回は果たせなかった。それでも来夏にパリ五輪、次回の2027年W杯と世界の頂点を目指す戦いは続いていく。しかし、その道のりは険しそうだ。武田氏は「監督はうまくチームづくりをしたし、若い選手もたくさん出てきた」と今大会の戦いを高く評価。その一方で、日本の女子サッカー界が抱える難題も浮き彫りにする。
「女子サッカーはもう完全に欧州が中心。追いつくために、これから日本の選手もどんどん欧州に渡るだろう」と予測。欧州組の増加はレベルアップにつながる半面、「そうなると、WEリーグがどうなるのか心配だ」と指摘した。
WEリーグは2021年秋から始まった女子プロリーグだが、集客に苦戦するなど深刻な人気低迷にあえいでいる。そうした窮状で有望選手が一気に海外へ流出すれば、女子サッカー界に地盤沈下を招きかねない。
代表強化にも懸念がある。「ネーションズリーグで欧州同士ばかり試合をやれば、アジアは取り残される。日本がどうやってレベルを上げていくか問題になる」。すでに男子ではネーションズリーグの開始により欧州強豪国とのマッチメークが困難になっているが、女子も9月からスタート。特に女子では強豪が欧州一極集中になりつつあり、日本は今後強化の場を設けることが一層難しくなりそうなのだ。
なでしこが再び世界の頂点に立つ日は来るのか――。









