至宝のサッカー人生を左右した〝決断〟にある思いとは――。森保ジャパンは15日の国際親善試合エルサルバドル戦(豊田ス)で6―0と圧勝した。その試合で強烈な輝きを放ったのが、MF久保建英(22=レアル・ソシエダード)だ。1得点2アシストと大活躍し、今季の飛躍を代表でも証明したが、覚醒の分岐点となったのが、ちょうど1年前の進路選択だった。

 新生森保ジャパンに初白星をもたらしたのは、日本が誇る至宝だ。キックオフ直後の前半1分に左サイドでFKを得ると、久保がキッカーに立候補。その自信どおり、絶妙のクロスをゴール前へ上げ、DF谷口彰悟(アルラヤン)の先制ヘッドを引き出した。

 さらに2―0で迎えた25分には、左サイドでボールを奪ったMF三笘薫(ブライトン)から受けたパスに迷うことなく左足を一閃。ゴール右隅へ強烈なシュートを決めた。久保にとっては昨年6月のガーナ戦以来、約1年ぶりの代表通算2点目のゴールとなった。後半15分には、FW中村敬斗(LASK)の代表初得点もアシスト。1ゴール2アシストの大暴れで文句なしの好プレーを見せた。

 試合後に「一番自信あるところなんで、あれが。こういう試合で点を決めることも大事なので満足している」と会心の表情。「明らかに質も強度も高かった。今日はやりたい放題だった」と新チームの進化に大きな手ごたえを口にした。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長も久保の成長を高く評価し、その理由を「やっぱり調子が(所属の)チームで良かったのが出ている」と指摘。今季から加入したRソシエダードで9ゴールを量産し、スペイン1部の日本人最多得点記録を更新する大ブレークを果たしたことが代表での充実ぶりにつながっている。

 昨年夏に久保は、それまで所属した名門レアル・マドリードからRソシエダードへの完全移籍を選択。それが吉と出たわけだが、世界最高峰のブランドを〝捨てる〟決断は並大抵ではない。

 U―20日本代表監督時代に久保を飛び級で抜てきした日本サッカー協会の内山篤技術委員(63)は、ちょうど1年前、去就で悩んでいたころに会話を交わした。決断にあった久保の思いをこう明かす。

「(JFA)夢フィールドで会った時にどうすんの?と聞いたら『とりあえず試合に出られるチームに行く』と言っていた。それが彼の基本姿勢ですよ。だから監督とか(チームの)色とか相当話をして。そういう経験をあの年でしているから、自分が光らない所では、やっぱりきついなというのがあったんだろう」

 以前はRマドリードへの復帰にこだわりレンタル移籍を繰り返したが、そこで失敗を重ねたことで名門への思いを断ち切った。さらに、ただ試合に出られるだけでなく、自分にフィットして飛躍も望める新天地がどこなのかを徹底的に考え尽くした。

 内山氏は「彼がブレークするかは結局、点に絡むかどうか。得点を入れる、アシストをする、ゴール前でプレーをする機会が増えてくるというね」と指摘。得点力を最も伸ばせる新天地を見極め、現在の進化を自ら引き寄せたのだ。完全に覚醒した久保が森保ジャパンの新エースに一歩近づいた。