【取材の裏側 現場ノート】大相撲夏場所6日目の19日、元大関の栃ノ心(35=春日野)が現役を引退した。ジョージア出身で角界屈指の怪力の持ち主。2018年には同国で初の幕内優勝と大関昇進を果たした。今年の初場所で左肩を負傷。これまで数々のケガを乗り越えてきたが「力が出なくなって、相撲を取るのが怖くなった」と17年に及んだ土俵人生に別れを告げた。
母国ジョージアでは国民的英雄。19年に凱旋帰国した際には、空港に人々が押し寄せ「子供から年寄りまで、知らない人はいないな。神様みたい。ヤバいよ」と本人も目を丸くしたほどだ。
その栃ノ心に「引退後に政治家になる考えは?」と聞いてみたことがある。モンゴル出身の元小結旭鷲山やエストニア出身の元大関把瑠都ら、引退後に母国で政治家に転身した例があるからだ。
すると、栃ノ心は次のように即答した。「俺は政治家にはなりたくないな。ジョージアでもオリンピック王者とか、世界王者とか、柔道選手とか、いっぱい政治家になっている。それまではいいイメージで皆が好きだったのに、政治家になると絶対に嫌われるんだもん。やることが汚いから。人生は1回しかないから、嫌われるのはイヤだ」
ならば、スポーツ団体の要職などは?「そういうのなら、全然いい。自分の国の人たちのために力になれるなら、やっていくよ」と笑顔で答えた。引退会見では、今後は未定としながらも「日本とジョージアと行ったり来たりできれば。これからの人生を頑張っていく」。
第2の人生でも、ジョージアの国民から愛される活躍を願ってやまない。













