衆議院安全保障委員会の質疑で4月25日、「UAP(未確認空中現象)」が〝議題〟になった。この日の安保委の案件「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案」において、日本維新の会の浅川義治議員が4人の参考人に質問し、参考人たちが回答した。

 UFO(未確認飛行物体)という言葉を民間が〝宇宙人の乗り物〟という意味で誤用するようになったため、米国当局が近年、UFOに代えてUAPという言葉を使うようになった。

 浅川議員が「アメリカの国防総省が3年前から公表しているUAPの問題について、私は日本も究明すべきじゃないかと思っています。参考人はUAPにどのような見解をお持ちですか」と切り出した。

 元統合幕僚長の折木良一参考人は「未確認物体というのは、今われわれが保有している技術を超えたものを解明することによって、われわれの技術に適用できないかというアメリカならではの取り組み方だと思います。失敗してもいいけど、成功したら取り入れようというスタンスなんでしょう」と話した。

 三井住友海上火災保険株式会社公務第一部顧問の深山延暁参考人は「本当に興味深いと思っています。現役の時はこういうことを言うと、部下から『そんなことは言わない方がいい』とたしなめられるので、やめておりました。私としては、人知が解明していないものがもう存在しない方がおかしい。こういうものをアメリカが研究するというのは意味のあることです」と語った。

 同志社大学名誉教授の村山裕三参考人は「アメリカがこういうとんでもない技術を手掛けるというのは、予算に余裕があるからできるということです。この背景には、ムダなことでも将来役に立つという発想があるんです。日本は予算が少ないから、絞ったことをやるだけです。アメリカはいろんなことをやって、そこから一ついいものを出して、途中で失敗したものも基礎研究として後で生きるだろうという発想です。これから日本もアメリカから学べることは多いと思います」と言った。

 拓殖大学教授の佐藤丙午参考人は「UAPについて『オカルトだ』と指摘する人がいますが、それは正しくありません。われわれは自然現象、社会現象のすべてを理解して把握しているわけではありません。常に未知の領域というのは存在します。その可能性があり、それがどういうものであるのかというのを探求していくところに技術開発の基本があるのです。そういう技術開発の可能性をオカルトという形で排除するのは正しくないと思っております」と答えた。

 これらの意見を受けて浅川氏は「率直な意見ありがとうございます。UAPについては私自身も目撃したことがあるので、ずっとライフワーク的に調べていたんです。10年以上前から、これが兵器だとしたらどうなんだと考えていました。実際にその観点から、アメリカ国防総省が巨大な予算を使って、全領域異常解決局を立ち上げ、UAPの調査、研究を始めています。UAPが探査機だったらまだいいのですが、兵器だったら、防衛省としてはアメリカと情報共有して、少しでも防衛装置を開発しないといけないと思います」と指摘した。

 衝撃的な質疑内容について、UFO研究家の竹本良氏は「重鎮の参考人に向かってUAPの見解を聞いてしまった浅川義治先生に脱帽です。その勇気をたたえたいです。この質問に4人の参考人は誠実に応答しました。未知なる問題に対する米国の科学解明や予算のつけ方などをさらりと説明。失敗を基礎情報として蓄え、失敗を恐れないで予算をつけてゆく技術開発の方法は米国から学ぶべしというわけです。この参考人4人はUAP否定どころか、みな肯定派。年末の超常現象特番にお呼びしたいぐらいです。日本でUAPを解明し、瞬間移動や反重力など未踏科学領域に踏み込む可能性も出てきたのかもしれません」と指摘した。