男性の発症率が高い膀胱がん。この病気は痛みやかゆみといった症状がないのが特徴だが、血尿が出たり尿検査で引っかかった場合は注意が必要だという。主な検査方法や治療方法を泌尿器科医の高橋亮医師に教えてもらおう。

 ――膀胱がんは、はっきりとした原因が分かっていないようですが、それはなぜですか

 高橋医師(以下高橋)膀胱がんの原因はいくつかに分かれることから、そのように言われているのだと思います。まず一つの原因としてはたばこで、50%ほどの確率で膀胱がんの原因になっています。たばこを吸う人は吸わない人に比べて2・5倍膀胱がんのリスクが高くなるとも言われているんです。

 ――ほかには

 高橋 職業柄、塗料や化学薬品など発がん性物質が含まれるものを扱う仕事をしている人がそれが原因となって膀胱がんになる場合も10%ほどの割合であると言われていますね。ほかの病気の治療で使われる薬や他のがん治療のために体に当てた放射線が原因になることもあります。また、尿を排出させるため長期間尿道にカテーテルを入れる処置を行うことで膀胱がんの原因となってしまう場合もあるんです。

 ――この病気の症状はどのようなものがありますか

 高橋 主な症状は痛みやかゆみなどの症状がない血尿です。痛みなどがない分、血尿が出ても放置する人がたまにいますが、そういう場合は膀胱がんの発見が遅れることがあります。そのほかでは、健康診断の尿検査で尿潜血が指摘された場合に病院を受診して分かるケースもあります。病院を受診する人は、血尿が出た人と健康診断の尿検査で引っかかった人がほとんどですね。

 ――検査方法を教えてください

 高橋 いくつかあります。まずは尿検査をして尿の中にがん細胞があるかどうかを調べます。それ以外では腹部の超音波検査を行って膀胱の中を診て腫瘍の影がないかどうかを確認する方法もあります。ただ、超音波検査の場合だと小さいがんを見落としてしまう可能性があるので、だいたいは血尿等でがんを疑った場合は内視鏡を尿道に入れて中を診ることが多いですね。その後、腫瘍が確認できた場合はCTやMRIを使って詳しい検査を行っていく流れになります。

 ――どのような治療方法がありますか

 高橋 がんが疑われる腫瘍が見つかると、ほとんどの人が最初に内視鏡の手術をします。内視鏡を尿道の先端から膀胱の中に入れて、中の腫瘍を削って取ります。その手術をすることによって腫瘍ががんかどうかや、悪性の度合い、腫瘍の根の深さがどれくらいあるのかが分かります。その結果を見て追加の治療が必要かどうかを判断していく流れになります。根っこが深いところまであれば後日、膀胱の全摘出をする手術に進む場合もありますし、腫瘍が表面のものだけであれば膀胱の中に再発を防ぐ薬を入れて治療していくことになります。

 ☆たかはし・りょう 神奈川県出身、2003年日本医科大学卒業。日本泌尿器科学会指導医・専門医。ED、早漏、AGAなどをはじめ、前立腺がんなど泌尿器科にまつわる疾患全般を扱う動坂下泌尿器科クリニック(東京・文京区)院長。