年を重ねる度、気のせいか、酒に弱くなったような気がする。若い頃と同じ量(日本酒6合)を飲むと、必ずといっていいほど二日酔いになる。今はせいぜい飲んで2合程度。これは果たして喜ぶべきなのだろうか? 燃費のいいプリウスのようなカラダになってしまった。そして悲しいことに、これは「気のせい」ではない。

 年齢が上がるにつれ、酒に弱くなる理由は2つある。1つ目は肝臓の機能が落ち、体内におけるアルコールの分解速度が遅くなること。2つ目は加齢により、体内の水分量が低下することで、少量の酒でも血中アルコール濃度が高くなりやすいことが挙がる。

 特に高齢者と言われる域に入ると酒に弱くなるのは顕著で、アルコール依存症になる人が多いという。高齢者になると加齢に加え、自由な時間が多いことや、生き甲斐の喪失や、言い知れぬ孤独感もまた、アルコール依存症を助長する原因になっている。実際、高齢者のアルコール依存症は増加傾向にある。久里浜医療センターのアルコール依存症全体に占める高齢者の割合は20%と意外にも多いことに驚く(2020年)。

 高齢者はアルコール依存症になりやすいが、会社員時代のような飲み会が少ないため、改善もしやすいとも言われている。だがその反面、妻から放置されてしまうこともあるという。

 鍵となるのは「年金」。現役時代は働かなくなると、即収入源に困るので、妻としては夫がアルコール依存症となれば必死で治療をすすめる。しかし年金は夫がアルコール依存症であろうとなかろうと、自動的に口座に振り込まれる。「酒さえ飲ませておけば静かになるのなら」と、見て見ぬふりをするケースが少なくないという。

「結局、金が目当てかい!」と言いたくなるかもしれないが、妻としては定年後の収入源は是が非でも確保したい。愛する妻にも見放され、気づけばアルコール依存症に…、なんてことにならないよう、加齢によって酒が弱くなるという事実を受け止め、節度ある飲み方を心がけたい。