大阪湾がクジラなら、東京湾にはトドがいる!! 東京湾奥にある羽田空港滑走路付近で、トドと見られる海獣1頭が15日に発見されたことで話題となっている。本来は北半球の寒冷地に生息するだけに関東では珍しいが、過去をさかのぼると東京湾は数多くの“珍客”が訪れるホットスポットのようで――。
トドは雄の体長が最大で4メートル近くにもなり、体重は1トンを超えることもある大食漢な海獣だ。定置網漁などで混獲すると、網の中の魚を食い荒らしたり漁網を破るなどする被害が相次ぐため、世界中の漁業関係者から“海のギャング”と呼ばれて恐れられてきた。
その結果、日本の生息地だった北海道では漁業被害をもたらすとして戦後、繁殖期である春に一斉駆除を実施。このために自衛隊の戦闘機が出動して機銃掃射するなど派手な駆除を長年続けた結果、根室海峡では1970年代に数千頭が生息していたのが急激に減少し、近年では100頭ほどしか生息を確認できない状況になっているという。
その一方で稚内沖にある弁天島では近年、秋から初夏にかけて餌を求めるトドが大集結。無人島とはいえ数千頭が島に上陸して大部分を覆い尽くし、完全にトドに占拠された島となっている。そのため稚内周辺では年間10億円規模の漁業被害が出て漁師たちの頭を悩ませている。
主食は魚類やイカ、タコなどだが、時には小型のアザラシまで襲って食べる。海洋生物に詳しい専門家は「恐ろしい異名のわりには、意外と臆病な性格の持ち主」と指摘。今回、東京湾に現れたトドについては「かなり珍しいケース。ケガをしているようなので海流に流されて南下してきたのかもしれない。海中の海獣捕獲は困難で、そっと見守るしかない」。
2014年11月に千葉県山武市の九十九里海岸で衰弱したトド1頭が発見された。このときは上陸していたため鴨川シーワールドが保護。その後、同施設で一般公開されるまで回復したケースはあるが、今回は上陸しているわけではないため、保護するのは難しそうだ。
とはいえ、過去をさかのぼると東京湾には数々の“珍客”が来訪しており、さながら“珍客ホットスポット”の様相だ。最も有名なのは02年に多摩川で見つかったアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」。そのほかにも05年にコククジラ、18年にもザトウクジラ、21年には“生きた化石”とも呼ばれるメガマウスやトドと同じ“海のギャング”の異名を持つシャチまで出現した。
海洋国家である日本近海は漁業資源が豊富なため、それを餌とする生物も数多く東京湾に迷い込んでいる。前出の専門家は「05年には映画『ジョーズ』でおなじみのホホジロザメが、死んだ状態でしたが川崎港に漂着し、当時の世界最大級として話題になりました。また、14年には走水港(横須賀市)でダイオウイカも発見されており、東京湾はさまざまな生物であふれています」と解説した。
新年早々にトドが出現した東京湾。今年はさらなる“珍客”が期待できるかもしれない。











