【角界この一年(上)】今年の大相撲は、感染症対策の難しさが改めて浮き彫りとなる1年となった。7月の名古屋場所ではコロナ関連による休場者が続出。全体の約3割にあたる174人(計13部屋)、十両以上の関取(故障者を含む)は戦後最多の23人が休場した。13日目は幕内13番のうち7番が不戦となる異常事態。日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「言葉がない…」と絶句した。
関取衆の大量離脱は、この時が初めてではない。2月に東京・両国国技館で開催が予定されていた「日本大相撲トーナメント」の直前に集団感染が判明。幕内29人、十両15人が欠場することとなり、大会は中止を余儀なくされた。その約1週間前には引退相撲が2日間行われており、東西2か所ある支度部屋の片方に感染者が集中。関係者の間では「あの時に感染が広がった」と、まことしやかにささやかれた。
相撲協会は9月の秋場所からコロナ関連による休場の措置を緩和。これまで感染者が出た部屋は力士全員が休場していたが、一定の条件を満たせば出場が可能となった。ただ、生活をともにする相撲部屋が集団感染の危険と隣り合わせであることに変わりはない。今後も綱渡りの状況が続くことになる。
6月には2年3か月ぶりに力士の出稽古が解禁され、8月には地方巡業が2年8か月ぶりに再開。次第に正常化の方向へ進む一方で、番付発表後の出稽古は引き続き禁じられている。八角理事長は「出稽古の全面解禁? そういう意見もあるが、場所を開くためにどうすればいいか。専門家と相談しながら様子を見て」と慎重な姿勢を崩さない。果たして来年の大相撲は、本来の姿を取り戻せるのだろうか。












