酒と健康に関する著書で知られ、数多くの医師を取材している酒ジャーナリストの葉石かおり氏が、自分も大好きな酒を元気に飲み続けるためのコツを探ります。

 

「ロクちゃん」。若かりし頃、日本酒を6合近く飲むからついた私のあだ名である。それが今はどうだ? 50歳を過ぎてから徐々に酒量が減り、アラカンになった今は2合も飲めばフラッフラになってしまう。しかし、これは私に限ったことではない。同世代の酒飲み仲間も「酒が弱くなった」と同様に嘆いている。酒が弱くなったのは「気のせい」だと思いたい。だが実際、若い頃と同じ量の酒を飲めるかといったら、絶対に飲めない自信がある。というか、今の私にとって6合は「致死量」だ。

 加齢とともに酒に弱くなる原因は大別して2つある。1つは肝臓の機能が落ち、アルコールを分解する速度が遅くなるからだ。年齢とともに酒が残りやすくなるのは、このためである。ちなみにアルコールの分解速度が一番速いといわれているのは30代。私の全盛期も30代だった。6合どころか、最高で一升飲めた(遠い目)。あの頃が妙に懐かしい。

 もう1つの理由は体内の水分量の低下。確かにスーパーのレジ袋の口を開く時、水をつけないとうまく開かないことからも「乾いたワタシ」を毎度実感する。悲しいかな、人間のカラダは年を重ねるにつれ水分量が減り、高齢者になると何と50%台にまで落ちる。そんな状態のところに脱水を促進する酒が入ると、さらに体内の水分量は減り、血中アルコール濃度が上がってしまうというワケだ。こうした理由からも、「酒を飲む際は酒と同量、またはそれ以上の水を飲む」ことは理にかなっていると言える。

 今は技術が進み、見た目はレーザー治療やプチ整形で若返ることはできるけど、肝臓の若返りはさすがにできない。「少量の酒で酔える燃費のいいカラダ」になったと前向きに考え、酒に弱くなった事実を粛々と受け止めようではないか。

 

 はいし・かおり酒ジャーナリスト、エッセイスト。「酒と健康」をテーマに医師を取材。γ―GTPの数値(14IU/L)が自慢。酔うとウクレレを弾いて歌うクセがある。自著「名医が教える飲酒の科学」はシリーズ累計17万部を超える。好きなお酒は日本酒とスパークリングワイン。