カタールW杯(20日開幕)を前に、日本代表の森保一監督(54)と元日本代表FW武田修宏氏(55=本紙評論家)による夢の対談が実現した。前編では、苦戦から解任論も浮上したW杯アジア最終予選の裏側、窮地を救った武田氏主催の〝レジェンド会〟の様子などを指揮官が激白。現役時代に日本代表でともに〝ドーハの悲劇〟を経験した盟友だからこそ明かせる本音とは――。

 武田氏(以下武田)現在の心境は。

 森保監督(以下森保)W杯を前にして、楽しみな気持ちがある一方で、いつもと変わらない淡々としている自分もいるように思いますね。

 武田 まずは最終予選を振り返ってみて。

 森保 つまずきはしたけど、こけなくてよかったです。アジア全体のレベルが上がっているので、簡単ではないと感じました。でも厳しい戦いがあったからこそチームの成長もあったと思います。私自身もいろいろなことを学ばせてもらいW杯に向かっていけますね。

 武田 日本人監督として予選を戦い抜き、もっと評価してほしいよな。

 森保 武田さんにそう言っていただき、ありがたいですし光栄です。日本サッカーの積み上げがすごく大きいと感じながら予選を戦いました。スタッフが先手先手を打って環境づくりをしてくれる。移動にしてもホテルにしてもいろんな準備をしてもらいました。そこは経験のあるスタッフがすごく多くて助けられました。

 武田 具体的には?

 森保 たとえば予算はかかりますが移動のチャーター機を出してもらって、海外組がちょっとでも早く日本に着けるように手配してくださったり。ホームで中国とサウジアラビア戦があった際には埼スタ(埼玉スタジアム2002)が工事期間で使えず、カタールとかどこかアウェーでやらないといけないかもしれない状況になりましたが、そこをJFA夢フィールドで準備して試合を埼スタでやれるようにと。行政、埼玉県知事など各方面に交渉してホームでできることになりました。あまり表に出てきていないですが、過去6大会の経験を生かしてやってくださったのは大きかったですね。

対談は終始和やかムードだった
対談は終始和やかムードだった

 武田 私やラモス(瑠偉)さん、カズさん(三浦知良=JFL鈴鹿)の食事会(昨年11月1日に開催)はどうだった?

 森保 めちゃめちゃ効いていますよ。ドーハ組の方たちがすごく応援してくださって心強いと思いました。食事会をしてもらったときは状況が悪い時期でしたし…。

 武田 あの時は負けたらクビとも言われていた。

 森保 クビになっていたかもしれないタイミングで「まだまだお前たちできるよ、信じてやれよ」と言ってくれて。ラモスさん、カズさん、武田さんが食事会で励ましてくださったことが、それだけですごく大きなエネルギーになりました。それが日本代表として国を背負って戦ったことのある皆さんが言ってくれたことで、また他の人たちにもその輪が広がって代表を応援してくれるという雰囲気になったので、めちゃくちゃありがたかったですね。

 武田 あのメンバーが揃ったのは珍しい。ポイチのためだった。

 森保 ラモスさんは「お前たちならできるから自信持ってやれ」と。カズさんも「ポイチ、お前が監督だし、お前が持っているものを選手に伝えて思いきってプレーしろ」と。そうした言葉がすごく大きかったですね。武田さんもまさに「思いきってやれよ」と。シンプルですけど、それはすごく大きい。チームのコンセプトや戦術的なことを整理しないといけないということがあったのですが、まずは思いきって力を発揮することが大切だと思っていたところで背中を押してもらえて、そうだよなと。勇気づけてもらえました。

 武田〝何か〟があるかもしれないと思ったので開催しようと…。

 森保 もしかしたらコレ(クビのポーズ)ですね(笑い)。それも含めて、覚悟しています。

 武田 いよいよ本大会。

 森保 W杯で結果を出すということが、完全に優先順位として一番にある。自分たちが29年前にドーハで夢が散った場所でW杯をやることは、何か運命的なことがあるんだろうなというのは感じますね。〝ドーハの悲劇〟の場所で〝ドーハの歓喜〟に変えたいと思っています。

決戦の時迫る!左から武田氏、森保監督
決戦の時迫る!左から武田氏、森保監督