さらなる進化のカギとは? 全日本大学女子駅伝(30日、弘進ゴムアスリートパーク仙台発~仙台市役所前市民広場着)、拓大の不破聖衣来(2年)は最長区間の5区(9・2キロ)を29分39秒で駆け抜け、2年連続の区間賞を獲得した。かねて「2028年ロサンゼルス五輪マラソン金メダル」を目標に掲げる一方で、まだ現状は成長段階。指導者の証言から、世界のトップに立つ可能性に迫った。

 不破は前回大会でマークした区間記録(28分00秒)には届かなかったものの、改めて存在感を示した。7位でタスキを受けると、徐々にペースアップ。「30~40%ぐらい」という状態ながら、3人抜きの快走でチームの5位入賞に大きく貢献した。レース後の不破は「沿道の応援のおかげで、ずっと楽しく走ることができた」と笑みを浮かべた。

 この日の走りでもうかがわせたように、不破のアスリートとしての能力は誰もが認めるところ。それは数字にも表れている。一般女性の心拍数は平均60~80台の中、不破は30~40台。同大の外部コーチで女子中長距離選手としても活躍する飯野摩耶は「心拍数は鍛えようと思ったら鍛えられる部分もあるし、努力のたまものだと思う」と目を細める一方で「心拍数が少ない方が強いけど、心拍数に対しての筋肉量が伴っていない」と課題を挙げた。

 心拍数の少なさが異次元の走りを生み出す半面、まだまだ線が細いのが現状だ。本人も体づくりの重要性を認識しており、寮の食事が出ない昼食は自炊で栄養面を管理。さらに、スクワットやメディシンボールを使った筋力トレーニングなども行いながら、パワーアップを図っている。

 将来的に五輪金メダルを目指す上では、さまざまな重圧とも闘う必要がある。今季は「自分でもよくわからないまま走れない期間が続いた」とメンタル面で悩んだ時期もあった。だからこそ、同大の五十嵐利治監督も「最終的には自分自身がプレッシャーとかに向き合い、乗り越えないといけない。本人主義ではないが、聖衣来自身が強いメンタルを持たなければ、その先の五輪で活躍するステージにはいけない」との見方を示した。

 今回は楽しむことをテーマに重圧を乗り越えた。ただ、不破はそれだけで終わらせるつもりはない。「いつまでも楽しむことに逃げてはいけない。(各レースに)合わせられるように調整して、タイムを狙いながら楽しめる方向に変えていきたい」。大目標の実現へ、一つずつ課題をクリアしていく。