ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻に予備役の部分動員令を発したことを受けて、ロシアオリンピック委員会(ROC)のエリート幹部が国外逃亡したと報じられ大きな波紋を呼んでいる。

 プーチン大統領はウクライナ侵攻で戦況が苦しくなる中、ついに約30万人の予備役の動員を決断。ロシア国内では各地でデモが多発し、国外に逃れようとする人が空港や駅に大挙押し寄せて大混乱となっている。

 そうした中、ロシアの中枢も機能不全に陥りつつある。同国の国営通信社「タス通信」によると、ROCのアナスタシア・ダビドワ事務局長(39)が国外逃亡したと報じた。

 ダビドワ氏はアーティスティックスイミングで2004年アテネ五輪、08年北京五輪、12年ロンドン五輪の3大会で計5個の金メダルを獲得したロシアのスター。その実績が買われてROC入りし、若くして要職の事務局長に抜てきされるなど将来が有望視されているエリート幹部だ。プーチン政権に近いROCの幹部が国外逃亡という裏切り行為に出たことで、政界やスポーツ界で激震が走っている。

 英メディア「インサイドザゲームズ」は「ダビドワのロシアからの逃亡は、ウクライナ侵攻で戦うために予備役が部分動員され、スポーツ省が国外でのトレーニングキャンプを一時停止するよう命じたことを受けてのものだ」と指摘。スポーツ省の方針に反発した模様だが、それに加えて自身の動員の可能性も恐れてそれから逃れるために逃亡を決断したとみられている。

 タス通信は「ダビドワがモスクワのアーティスティックスイミングの拠点のスタッフに『ロシアに戻るつもりはない』と通告した」と報道。一方のROC側は「ダビドワは事務局長を辞任していない」と語ったが逃亡については否定しなかったという。

 ROCのエリート幹部が国外逃亡したことで、スポーツ界や政財界でもそれに続く動きが出てきそうだ。