最年長V力士の〝余力〟は未知数だ。大相撲秋場所千秋楽(25日、東京・両国国技館)、幕内玉鷲(37=片男波)が2019年初場所以来、2度目の優勝を果たした。

 今場所は初日から6連勝とスタートダッシュに成功すると、1横綱3大関を撃破するなど勝負強さを発揮。この日は1差で追う幕内高安(田子ノ浦)を力強く押し出して賜杯をたぐり寄せた。師匠の片男波親方(元関脇玉春日)は「(今場所目立ったのは)立ち合いからの当たり、その後の流れ。特に勝負が早い。前に出る力もそうだけど、左右の動きというか、特に右差してから攻めるという感覚をつかんだんだと思う」と最後まで好調をキープした要因を挙げた。

 37歳10か月での優勝は年6場所制以降で最年長記録。そんなベテランの強さの秘密はどこにあるのか。

 同親方は「それはいつも不思議なところ」と、〝答え〟を持ち合わせていない様子。親方自身、36歳で現役を引退しているだけに「本来37歳といったら体力的にも衰えを認めざるを得ないところ。だけど、彼はそんなに衰えたという感じもないし、ここまで上位陣に勝てるというのが私もよくわからない」と続けた。

 一方、玉鷲は相撲経験がほとんどない状態で角界に入ったことから、同親方は「まったくの素人で入ってきたんで、それが逆にいいのかもしれない。概念にとらわれないので。限界という、30後半になってくると衰えるという考えが彼の中にはないんじゃないか」と分析。

 さらに「あんまり物ごとを深く考えないかもしれない。楽天的というか、もうちょっと考えてほしいんだけど(笑い)。特に今場所はそれがいい方向に出たと思う」と語った。

 玉鷲は今場所9日目(19日)に04年春場所からの連続出場が、貴闘力を抜いて歴代単独3位となる1457回に到達。「私はあれが彼の気持ちを高めてくれると思う。どちらかというと目立ちたいほうですから。それで『鉄人』『連続出場』と言われることが、バロメーターというか士気を高めていると思う」(同親方)。11月に38歳を迎える鉄人はまだまだ衰えそうにない。