格闘王・前田日明氏(63)が、日本中の注目を集めた19日の立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」(東京ドーム)を大総括した。〝キック界の神童〟那須川天心(23)とK―1のエース、武尊(30)の「世紀の頂上決戦」で勝敗の分かれ目を解説。さらにはフジテレビの地上波放送見送りにより、格闘技の新たな可能性が見えたことを受け「呪縛から解放された歴史的一戦」と位置づけた。格闘王が指摘した、メガイベントの功績と今後の課題とは――。
キックボクシング界の頂上決戦は、那須川が1ラウンドに左フックでダウンを奪うなど武尊を終始圧倒。5―0の判定で完勝を収めた。
PPVで同戦を視聴したという前田氏は「やっぱり武尊の動きが硬かったね。もともとスロースターターの子ではあるけど、なおさら硬かった。なんでかなって思うくらい一発狙いというか。右ミドルとかちゃんと多用したら、あんな展開にならなかったのかな。当日4キロのリカバリーの影響もあって、あまり体力的に自信がなかったのかな?」と感想を口にした。
58キロ契約の当日62キロ計量は、戦前から減量が厳しい武尊に不利と一部でささやかれていた。武尊は言い訳をしなかったが「相手は天心だからね。完調の武尊でやってたら面白いだろうなって予想してたと思うけど、完調じゃなかった。一方的になっちゃうよね」と解説。一方で那須川に関しては「ポジション取りの部分もだけど、すごく研究してた。ニコッと笑ったら右フックが来るんだって天心が言ってて、そう言われたらそうだよねと。(対策が)万全で、すごい自信があったんだろう」と称賛した。
興行としても大きな成功を収め、観客動員は5万6399人を記録。「ABEMA」でのPPVは日本格闘技史上最多の50万件を突破した。結果的にフジテレビの撤退が格闘技の視聴方法に変革をもたらした格好だ。
前田氏は「やっとテレビの呪縛からイベント全体が逃れたっていう、歴史的な試合だったね。とはいうものの、日本のネット環境は先進国中で最低。その整備を格闘界全体で陳情したほうがいいよ」と断言。「テレビは制約が多すぎるんだよ。言っちゃいけない言葉とか、やっちゃいけないこととか。テレビ放送自体がどんどんつまらなくなってる。表現できないんですよ、何も。ハッキリ言って。テレビ界は自分の首を絞めたね」と、今回の一件が新たな契機となるとの見解を示した。
もちろん課題もある。2人の試合は那須川が武尊に対戦表明してから、実に6年7か月もの歳月を要したからこそドリームマッチになり得た。しかもその長期間、両者が無敗を守り抜いたという奇跡に近い条件がつく。「RISEとK―1の総力戦をおまけにつけて、天心と武尊で7年くらいあおって…正直言えば、7年あおらないとあそこまでいかないんかっていうのがあるよね。これで次から普段のRIZINだ、K―1だ、RISEだって言っても入らないよ」
加えてドル箱スターの那須川はプロボクシングに転向する。MMAやキックにおける新たなスターの育成は急務だ。前田氏は「前回の試合で驚いたのが、シュートボクシングでいい選手いたじゃない。海人。あれもよく聞いたら親父が小さい時から教えてるって。亀田三兄弟や井上尚弥みたいに、親と二人三脚で強くなった選手がこれだけいっぱいいる。ということは、まだまだこれからウチもウチもってどんどん出てくるよ」と期待を寄せた上で「やっぱり一番は選手の発掘ですよ」と力説した。
格闘技の常識をことごとく覆した「THE MATCH」。一夜限りの夢になるのか、未来への起爆剤になるのかは今後の格闘界次第だ。












