フィンランドのサンナ・マリン首相(36)が知人らと踊ったり歌ったりする私的な動画がネット上に流出した問題で、同国首相府は22日、マリン氏が19日に受けた薬物検査で陰性だったと発表した。動画の内容から、一部の野党が薬物検査を求めていた。ダンスに興じる姿が世論の賛否両論を呼んだが、世界中の女性たちがマリン氏を支持するダンス動画をSNSに投稿し始めたという。

 マリン氏は検査費用を自己負担したという。流出した動画は、フィンランドの与党議員や有名歌手、ラッパーらとの屋内パーティーの様子を撮影したものとみられる。マリン氏は大音量の音楽に合わせて叫び、参加者と肌を密着させたりしながら激しく踊っている。フィンランド放送協会(YLE)によると、薬物の隠語が使われていたとの疑惑があった。

 動画の流出は先週、欧米メディアで報じられ、波紋を呼んだ。マリン氏は数週間前のことだと説明。隣国ロシアによるウクライナ侵攻や物価高騰など課題が山積している状況で、野党が批判を強めた。体をくねらすように踊るなどする姿が「政治家として不適切」との批判もなされた。

 これに対し、マリン氏は動画発覚当時、「私には家庭や仕事があり、友人と過ごす自由な時間もある。同年代の多くの人々とほとんど同じだ」と理解を求めた。一部の野党は薬物検査を受けるよう要求。マリン氏は薬物の使用を否定し、「検査を受けることに問題はない」としていた。

 検査によって薬物疑惑を晴らしたマリン氏にはさらなる“追い風”が。英紙デーリー・メールによると、SNS上ではフィンランド国内外の女性がマリン氏への連帯を示し、自分たちの激しいダンス動画を投稿する動きが広がっている。米CNN(電子版)も「世界中の女性がマリン氏への批判に対し、自身のダンス動画をSNSに投稿」と伝えた。

 SNSでは「#サンナ・マリン」「#ダンス・フォー・サンナ」といったハッシュタグ付きの投稿が拡散。「サンナ・マリンを支えるため、すべての政治家がダンスすることを応援したい。我々には、人間らしくあることを恐れない政治家が必要だ」とのコメントも見られた。

 2019年12月、フィンランド史上最年少の34歳で首相に就任したマリン氏。これまで、素肌の上にジャケットをまとった写真が女性誌の表紙を飾り、論争を呼んだこともあった。昨年12月には新型コロナウイルスの感染者と接触した後にクラブに出かけ、未明まで過ごしたとして謝罪に追い込まれた。

 マリン氏への賛否はあれど、オジサン政治の日本では考えられない状況だ。