安倍晋三元首相が8日、銃撃により死去したことを受け、バイデン米大統領やグテーレス国連事務総長、英国のエリザベス女王、ウクライナのゼレンスキー大統領からロシアのプーチン大統領に至るまで、各国の指導者らが弔意を示し、「世界は偉大なリーダーを失った」と同氏の早すぎる死を悼むとともに、卑劣なテロ行為を糾弾した。

 バイデン氏は安倍氏死去の知らせを受け、「激しい怒りと悲しみ、深い哀悼の意」を表明。ワシントンの日本大使公邸を訪れ、持参した花束を贈り、弔問者用のゲストブックに記帳し、安倍氏について「平和と判断の人」と記した。

 バイデン氏は、「これは日本と彼を知る全ての人にとっての悲劇だ」とし、「彼の自由でオープンなインド太平洋構想は生き続ける。彼は日本の人びとを深く愛し、人生をそのために尽くした」と述べた。

 ニューヨークの国連本部では、8日に開かれた国連安全保障理事会の冒頭、現在議長を務めるブラジルのコスタ国連大使が、「不条理な暗殺に悲しみ、衝撃を受けている」と述べ、安保理理事国15か国の代表ら全員が起立し黙とうをささげた。

 グテーレス事務総長は安倍氏を「多国間主義の堅固な庇護者として、また国連のリーダーであり支持者として記憶されるだろう」とし、同氏の死を悼んだ。また、「2016年に英国を訪問した安倍氏夫妻と会った際の楽しい思い出がある」と明かした。

 エリザベス女王は哀悼のメッセージを天皇陛下に送ったことを英王室のツイッターで明らかにした。女王は「突然の痛ましい訃報に深く悲しんでいます。彼の日本への愛、そして英国との絆を一層深めたいとの思いは明確でした」と記した。

 ウクライナのゼレンスキー氏は、「この困難な時に、ご家族と日本の人びとに心よりお見舞い申し上げます。この凶悪な暴力行為はどんな言い訳も通用しない」とツイートした。

また、プーチン氏は安倍氏の母親・洋子さんと妻・昭恵さん宛てに送った弔電をロシア大統領府が公表。「犯罪者より、長年にわたって日本政府を率い、日露関係の発展に尽くした卓越した政治家の命が奪われた。私は晋三と定期的に接触するなかで、彼の素晴らしい性格とプロとしての仕事の質が発揮されるのを目にしてきた。この素晴らしい人物と素晴らしい記憶は彼を知る全ての人びとの心に残るだろう」とした。

 2005年~21年までドイツを率いたメルケル前首相は、ほとんど同時期に首相を務めた安倍氏の死について、「卑怯で卑劣な暗殺」により「深い衝撃に打ちひしがれた」と記した。台湾の蔡英文総統は安倍氏が「長年にわたり日台関係の発展に尽くされた」とし、コロナ禍ではワクチン供与を受けたことにも触れた。

 親交の深かったインドのモディ首相は9日を国として安倍氏のために喪に服す日と定め、最大級の敬意と弔意を示した。ほかにも英国のジョンソン首相やスペインのサンチェス首相、韓国の尹錫悦大統領、豪州のアルバニージ首相、NZのアーダーン首相、イタリアのドラギ首相、ヨルダン国王のアブドゥッラー2世らも弔電を送った。