〝男・山根〟ことプロボクシング団体「WYBC」の会長で、日本ボクシング連盟12代目会長の山根明氏(82)が、19日の立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」で武尊との激闘を制した那須川天心のボクシング転向に太鼓判を押した。一方で3団体統一王者・井上尚弥との思い出も告白。ボクシングのすべてを知る男は、今日もじょう舌だ。

 山根氏は20日、WYBC世界ヘビー級王者の高橋知哉、総合格闘家のエンセン井上とともに、大阪市内で行われた総合格闘技世界最強決定戦「SPIRIT」の開催会見に登場した。世界中の種目別格闘家による総合格闘技世界最強決定戦。記念すべき初大会は9月4日に京都・亀岡で開催される。

 WYBC世界ヘビー級王者・高橋はイングランドベアナックルファイトの元チャンピオン、フランシス・ジョゼ・メシア(ペルー)と3分3Rの総合ルールで対戦。ほかに4試合が予定されている。

 エンセンの理念に共感し、大会に賛同した山根氏は「間もなく83歳になるが、私は格闘技が大好きだ。この大会は決して大きくはないが、埋もれている若い世代を取り上げていきたい」と意欲を示した。

 今月、格闘技界では注目のビッグマッチが続いている。過去にテレビ番組で那須川と共演したことがあり「非常に礼儀正しい青年だった」と絶賛する山根氏は、「THE MATCH」をPPV観戦したという。激戦の末に那須川が武尊を破ったことに「戦績的にはほとんど差がない。でも、天心は賢いですよ。ボクシング、格闘技する人はバカではできない。頭も切れる。天心の方が上回ってた」と振り返った。

 那須川はこの一戦をもってキックボクシングを卒業し、ボクシングに専念する。期待と不安が入り交じる中、山根氏は「国際式でも100%通用する。パンチの早さ、タイミングが非常にいい。あとはキャリア。プロボクシングに転向してキャリアさえ積めば、100%、いや120%チャンピオンになるでしょうね」と、世界王者獲得に太鼓判を押した。ちなみに「国際式」とはあまり聞きなれない言葉だが、要はオーソドックスなボクシングルールのことだ。

「THE MATCH」からさかのぼること12日、今月7日には井上がノニト・ドネアを破って3団体統一王者となった。山根氏は、井上がアマチュア時代から勝手知ったる間柄であり、自宅には井上が世界タイトルを取った直後に一緒に撮った写真が誇らしげに飾られている。

 山根氏は「日本代表として海外遠征に出す時に、強化合宿の2日目に元気がなかった。『何でや?』と聞いたら、『お父さんがセコンドしてくれたら元気出るんですけど』と言った。当時、私は強化委員長の役職を担っていて、特別にお父さんを同行させた。結果として、インドネシア大統領杯で初の国際大会金メダルを獲得できた。その後、ロンドン五輪の出場を逃し、プロ入りの相談をされ、大橋ジムに送り込んだんですよ」と思い出話を披露した。

 井上や那須川のようなスターが誕生する一方で、山根氏は未来の格闘技界を心配している。

「アマチュアスポーツは青少年の教育の一環。〝選手ファースト〟という言葉は聞こえはいいが、指導者、役員はわが子のように接しないと、井上や天心のような選手は出てこない。今は彼らのようなスーパースターがいるから安泰かもしれないが、このままでは次は出てこない」と熱弁を振るった。