ストレス緩和や睡眠の質の向上に効果があるとされる乳酸菌を摂取できる商品が人気を博している。腸内環境を整えることは精神状態の安定にもつながると言われているが、では、なぜ乳酸菌を摂取するとストレスが緩和されるのか。その仕組みを「東京国際クリニック」(東京・千代田区)副院長で、消化器内科医の宮崎郁子医師に教えてもらった。高齢者にとっては、乳酸菌摂取にちょっとしたコツもあるという。
どうして乳酸菌でストレスが緩和される?
脳と腸がお互いに密接に影響を及ぼし合う現象を腸脳相関といいます。よく、ストレスを感じるとおなかを壊したり便秘になったりしますよね。これは自律神経を介して脳から腸にストレスがかかっていることが伝わることで、腸の動きが悪くなったり動きが活発になったりするからです。また、おなかの中が病原菌に感染すると脳内で不安感を覚えたり食欲を落として腸管安静を保とうとします。これは消化管から放出されるホルモンが関係しています。
腸内細菌を持たない無菌マウスと、腸内に細菌を持つマウスを比べた実験があります。腸内に細菌がないマウスは、ストレス過多になり自分の尻尾をかじってしまうんです。ところが、そのマウスの腸内に細菌を入れてあげるとマウスの不安行動が正常化するということが分かりました。そういった背景もあり、最近では乳酸菌飲料とストレスの関係が注目されるようになっているんですね。
当院でも腸内フローラなどを調べており、患者さんの便を採ってその人がどんな菌を持っているかを調べたり、それに合う乳酸菌を提案したりもしています。
ストレスからくる体の不調にも腸内環境が関係している
日本人は過敏性腸症候群(IBS)の人がとても多いんです。例えば図書館に行ったり電車に乗ったときにおなかを壊してしまう人はIBSの可能性があります。閉鎖空間にいると不安が強くなって、おなかが痛くなってしまうんです。このように脳と腸はお互いに関わり合っています。ひどい下痢を起こしたエピソードを引き金にして過敏性腸症候群を発症する人もいます。そこで、腸内フローラのバランスを改善するプロバイオティクスを心身の不調の改善に役立てようという研究も行われています。
高齢者にはこの乳酸菌!
乳酸菌は、認知症にも関係しているので、60代以降の高齢の人は乳酸菌を取った方がいいですね。しかし、60代以降の方が子供のころはヨーグルトがまだ世の中に浸透していなかったと思います。実は、そういった環境で育った人が一生懸命ヨーグルトを食べてもなかなか自分の腸では生着しないという説もあります。
おなかの中の菌は子供のころに食べたものの影響を受けていて、それは人それぞれ違います。自分に合った菌を取るとおなかの中で増えるのですが、無駄な菌を取っても生着しないんです。だから子供のころにたまり漬けやぬか漬けを食べていたという人はそういう乳酸菌の方が生着する可能性が高いです。みそ汁や漬物で乳酸菌を取るのもオススメです。ヨーグルトを食べるのは夜がオススメです。ヨーグルトは夜ご飯を食べた後に食べた方が腸が活発になるので吸収が良くなります。
コルチゾールを抑える働きも◎
ヤクルト1000に含まれる「乳酸菌 シロタ株」やカルピスの「ガセリ菌CP2305株」にはストレスホルモンである唾液中のコルチゾールの増加を抑制する効果があります。コルチゾールは体の機能を保つために必要なものですが、緊張する場面で増加するため、ストレスホルモンと呼ばれているんです。過剰になるとうつ病や不眠症などのメンタル不全、生活習慣病、免疫力の低下などの一因になることが分かっています。
同乳酸菌飲料を飲む以外でコルチゾールを抑制する方法は笑うことやヨガ、瞑想、良い睡眠を取るなどもありますよ。
生きたまま腸に届くってどういうこと?
乳酸菌の中には生きたまま腸に届くことができる菌「生菌」と、腸に届く前に死んでしまう「死菌」があります。
乳酸菌は酸に弱く、生きたまま届けたいなら、胃の酸性度を考慮して、食後の摂取がベター。もちろん、「生きて腸まで届く」とうたっているヨーグルトや乳酸菌飲料もオススメです。生菌は乳酸を作り、腸壁を刺激し蠕動運動を活発にして便秘を改善。また、腸内を酸性に保ってくれるため、酸性が苦手な悪玉菌の増殖も改善してくれます。
ちなみに、死菌も「菌体成分」はきちんと腸まで届きますし、免疫細胞を刺激し、病原菌やウイルスを排除するために、免疫の活性を促す効果を持っています。生きた菌のエサとなって、腸内環境の活性化にもつながるので有用です。












