北京五輪カーリング女子日本代表ロコ・ソラーレ(LS)を初の決勝の舞台に導いた影の立役者は、リザーブ・石崎琴美(43)だ。フィフスとも呼ばれるこのポジションは、5人目の選手としてチームをサポート。補欠としての側面が強いようにも見えるが、石崎の存在がチームの命運を握っているといっても過言ではない。
大切な役割の1つが「ナイトプラクティス」だ。試合前夜には、会場で石を投げて氷との相性をチェックする時間が設けられる。しかし、時間は10分程度。限られた時間の中で、石や氷のクセを把握し、試合の戦略に生かす必要がある。今大会も黙々と作業を行い、的確な情報を集めてきた。
かつて石崎は「ナイトプラクティスで石のチェックをすることが私の役目。自分なりにずっとチームに入ってからどういうふうにしたら、一番いいパフォーマンスがその10分間でできるだろうかというのは考えてきた」とコメント。最も状態のいい石をスキップが最終投で使うことが多く、石崎の判断がチームの勝敗を左右することもあり、完璧な分析が求められるのだ。
また、石崎はコーチ的な役割も担い、自身が得た情報を参考にアドバイスを送り、時にはメンタル面もサポートする。「客観的に試合を見ていて、例えば負けたとしても、パフォーマンス自体はすごくいいけど負けた、すごく上手にできているのにネガティブにとらえてしまう時があるので、そういう時は、よくやれてるんだと、ちゃんと伝えるようにはする」
16日の米国戦では「やっぱりそれぞれに、見えないところですごくプレッシャーがかかっている。五輪は特にプレッシャーがかかる試合ですが、1人では頑張れないことも、4人一緒にだったら頑張れる」との思いから「お互いをちゃんと支え合って、1人が頑張るのではなくて、みんなで支え合ってやってほしい」と声をかけた。石崎の言葉で原点を思い出したメンバーたちは、崖っぷちの場面からで見事勝利を収めた。
まさに黒子役に徹する石崎だが、万が一に備え、トレーニングも怠らない。LSと代表決定戦で死闘を繰り広げた北海道銀行のサード・小野寺佳歩(現フォルティウス)は「本当に努力の人で私たちが同じところでトレーニングをしている期間があったんですけど、勤めているところがジムのあるところなので、そこでお昼になったらいつも走りに来ていました」と証言する。
表向きには目立たないかもしれない。それでも、チームに欠かせない大事な戦力。ソチ五輪スキージャンプ団体で銅メダルを獲得した葛西紀明(41歳8か月)が持つ記録を更新し、男女を通じて日本勢冬季五輪最年長メダリストになったが、金メダルに向けて最後まで己の役割をまっとうする覚悟だ。












