【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。急性の全身感染症であるはしかの感染者が増加しています。東京都では13日に新たに2人の感染が報告されました。昨年の感染者は34人だったにもかかわらず、今年はすでに109人と急増しています。非常に感染力が強いウイルスですので、日頃の基本的な感染対策から気をつけたいところですね。

 さて、そんなニュースに関連し、今週は伝染病・ペストが猛威を振るった時代を生き抜き、世界で最も有名な作家となったウィリアム・シェイクスピアを題材とした映画「ハムネット」を紹介します。今月10日に公開されました。

 本作は第98回アカデミー賞で作品賞ほか計8部門にノミネートされ、ジェシー・バックリーが主演女優賞を受賞した傑作映画です。シェイクスピアの妻・アグネスの視点から、名作戯曲「ハムレット」誕生の裏にある悲劇と愛を描きます。

 伝記映画というと当然主役はシェイクスピアになるはずなんですが、今回は主役にアグネスを持ってくるというアプローチがまず面白い。シェイクスピアとハムレット自体は何度も扱われてきた題材ですけど、新しい視点で描き出されていて古典なのに新鮮に見ることができましたね。

 ハムレットって、400年前の作品といわれてるんですよ。日本だと江戸時代になったばかりのころ。それが令和になっても新作として出てくるすごさ。これが、シェイクスピアが愛され続ける理由につながってると思うんです。

 シェイクスピアの人生を描いた今作は、ひと言で言うと喪失の物語。最愛の息子をペストで亡くした夫婦は失意の底に叩き落とされるんだけども、それでも人は生きていかないといけない。そんな悲哀を描いた物語で、悲しみが芸術に変わる瞬間に、なぜ人は物語を書くのか。なぜ演じるのか。なぜ悲しみを言葉にするのかという真理が見えてくるんです。悲しみは消えないけど、形を変えることはできるんだと。言い表せられない感情が形になるんですね。

 シェイクスピアの作品は、彼の人生から人間の喜怒哀楽、生きている感情がリアルに描き出されている。たとえ何年たっても人の感情は変わらないから、いつまでも彼の戯曲は人を感動させるんだなと感じましたね。

 最初は正直、題材が古典的だなと感じたんですけど、新鮮な視点と時代を超える人の思いに心を揺さぶられました。大注目の素晴らしい作品です。ぜひ劇場でご覧ください。