ヤクルト・村上宗隆内野手(25)が29日のDeNA戦(横浜)で約3か月半ぶりに一軍復帰。いきなりの今季1号ソロを含む4打数2安打1打点の活躍で、チームは5―1で快勝して7連勝を飾った。2度にわたる右脇腹の負傷を乗り越えてきた大砲を、MLBスカウトたちはどう見ているのか。癖になりやすい箇所ともいわれるだけに〝再々発〟した場合は最悪のケースも考えられるという。
見せ場はいきなり訪れた。「4番・三塁」で先発出場した村上は2回の第1打席で相手先発左腕・東の直球を捉えて左翼席中段へ。最下位に沈むチームを勢いづけ、試合後には「僕が帰ってきて負けたら何を言われるか分からないので、必死に頑張りました。すごいプレッシャーだったのですごいホッとしています」とはにかんだ。
主砲のカムバックを待ち焦がれていたのはチームだけではない。村上は早ければ今オフにもポスティングシステムで米球界に渡る可能性がある。今月中旬にも成田オーナーが「できれば本人の希望をかなえてあげたい。それは前々から球団の方針ですから」と明言。本人が望めば夢を後押しする姿勢を改めて打ち出した。
それだけに、村上の獲得を検討するMLB関係者たちにとって、残りのシーズンは燕の大砲の〝現在地〟を測る視察機会。もちろん、最大の魅力である長打力をはじめとする打撃全般がメインとなるが、MLBスカウトの一人は「注意深く見るのは打席以外」と明かす。具体的には打席後などに村上が見せる「しぐさ」で、一挙手一投足を注視するという。
その理由は、やはり1シーズンで2度も負傷した脇腹にある。開幕前の3月の練習中に痛めたことが始まりで、リハビリなどを経て復帰した4月17日の阪神戦(神宮)で再発。不慣れな右翼での先発出場で、9回の5打席目にフルスイングしたところ激しい痛みに襲われ、自ら打席を外れて緊急交代した。
この一戦を視察していた別のスカウトは「その前の右翼守備の時から、しきりに脇腹を気にしていた。まだ完全に治っていない中で出場したか、試合中に全力で動いていた中で違和感のようなものを覚えていたか。いずれにしても、スイングする前から本人も『何かおかしいな』という感覚があったのは間違いない」と振り返る。
主砲の故障再発はチームにとっても致命的な戦力ダウン。連勝を重ねても単独最下位からは抜け出せず、自力優勝の可能性も早々と消滅し、CS進出も絶望的となっている。
ただ、こうした状況を海の向こうから見れば、切迫したチーム状況による見切り発車の可能性が低く、万全だからこそのカムバックと捉えられている。残りのシーズンを完走することを重視した一軍復帰だからこそ、村上にわずかな異変がないかスカウト陣は凝視するつもりなのだ。
慎重に慎重を期した2度目の復帰戦。前出のMLBスカウトは万一にも脇腹の負傷が再発してしまった場合、獲得調査そのものを打ち切る可能性について静かにうなずき、否定することはなかった。つまり〝次はアウト〟となりかねないということだ。
脇腹は打撃だけでなく守備、走塁のすべてに関わるデリケートな箇所。しかも繰り返し痛めるケースが後を絶たず、とことん厄介な部位でもある。「令和初の3冠王」の夢はご破算となってしまうのか。そんなことは誰も望んでいないが、今後も村上の脇腹には熱視線が注がれる。












