テニス男子の全豪オープンを制したラファエル・ナダル(35=スペイン)の〝凱旋大会〟となるマドリードオープンに向けて、なぜかライバルのノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)を前面に押し出したキャンペーンがスタートして波紋が広がっている。

 セルビア紙「アロ」は「マドリードの大会は、世界最高のテニスプレーヤーであるジョコビッチを今年のトーナメントのキャラクターに起用し、ポスターや看板などを掲示してプロモーションを開始した」と報じた。

 ナダルは4大大会で史上単独トップの21勝を挙げるなどテニス界のレジェンドで、母国スペインの英雄でもある。地元のマドリードオープンでは最多5回の優勝を誇っており当然ナダルが注目されるはずだが、まさかの〝ジョコビッチ推し〟が展開されているのだ。

 その理由は「マドリード市長のマルティネス・アルメイダがジョコビッチを全面的に支援している」と同紙は指摘。アルメイダ市長がジョコビッチの大ファンのようで「私たちの誰もが、世界一が誰であるのか疑うことはない。ノバクはアスリートとしての美徳を持っており、プレーすれば世界最高の選手として、彼は最大の喜びで歓迎されるだろう」と語っている。

 しかしスペイン政府は現在のところ新型コロナワクチンの未接種者はアスリートであっても入国させない方針で、サンチェス首相も「ジョコビッチは4月末に始まるマドリードの大会に出場するためには、スペインの健康規則を順守する必要がある」とクギを刺している。

 それでもアルメイダ市長はジョコビッチの出場を〝ゴリ押し〟する方針のようで「マドリードの大会運営側は、ジョコビッチがスペインの首都で競争できる状況を作り出すために、スペイン当局や管轄の当局に〝圧力〟をかけたいと考えている」と同紙は指摘。ジョコビッチに〝特例〟での入国を認めるよう水面下で動いているというのだ。

 母国の英雄を差し置いてライバルを猛プッシュし、しかも入国規制の抜け道までつくるために当局に圧力までかけようとしているアルメイダ市長。当然非難の声が上がっており、スペインで大騒動に発展している。