やはり隔離の代償は大きいようだ。男子テニスの世界ランキング42位の錦織圭(31=日清食品)が8日、全豪オープン(メルボルン)の男子シングルス1回戦で同16位のパブロ・カレニョブスタ(29=スペイン)に5―7、6―7(4―7)、2―6のストレートで敗戦。ケガからの復帰を期したが、1回戦で姿を消してしまった。

 とはいえ、試合内容はスコアほど一方的ではなかった。男子ダブルス元世界1位のマックス・ミルヌイ・コーチ(43)と取り組み中のネットプレーを効果的に駆使。第1セット、絶対に落とせない3―5の第9ゲームでサーブ&ボレーを繰り出して相手を翻弄。このセットは落としてしまったが、第2セットでも3―3の第7ゲーム、5―5の第11ゲームと勝負どころでサーブ&ボレーを成功させた。ネットに果敢に出てボレーを決めるなど多彩な戦術を持つ錦織らしさを随所に出したが、決定的な敗因は体力面だった。

 今大会の前哨戦で現地入りした際、搭乗した飛行機に新型コロナウイルス陽性者が乗っていたことで15日間の完全隔離を強いられた。部屋でラケットを振り、短い距離をダッシュしたりと工夫を凝らしたが、決して体調万全とは言い難い状態だった。

 第1セット途中からベンチで苦しそうな表情を見せ、ショットの際の息遣いも荒くなった。第3セットでは疲労がフットワークに現れ、ラリー中に足が追い付かない場面もあった。

 裏を返せば、体力さえ戻れば十分に戦える感触はつかんだはず。次戦の3月1日開幕のABNアムロ世界テニス・トーナメント(オランダ・ロッテルダム)に期待したい。