【全米OP】大坂なおみと決勝で激突!〝最恐女王〟アザレンカを丸裸分析

2020年09月12日 06時15分

大坂なおみが決勝で激突するアザレンカ(ロイター)

 日本女子テニス界のエースで世界ランキング9位の大坂なおみ(22=日清食品)が4大大会「全米オープン」(ニューヨーク)で2年ぶり2度目の優勝に王手をかけた。決勝の相手はビクトリア・アザレンカ(31=ベラルーシ)。現在は同27位だが、侮るなかれ! 元1位で、女子テニス界ナンバーワンと言われる気性の荒さと強気な攻めで知られる。人種差別への〝抗議マスク〟でも大きな注目を集める中で、果たして大坂は「最恐女王」に勝てるのか。勝敗を分ける重要ポイントに迫った。

 今大会はトップ10の選手6人が欠場。新型コロナウイルス禍で開催も危ぶまれたが、フタを開ければ大いに盛り上がっている。そのド真ん中にいるのが大坂だ。

 1回戦から持ち前の強力サーブと進化したフィジカルで快進撃。恋人で人気ラッパーのコルダエ(23)とともに会場入りした準決勝(10日=日本時間11日)では、世界41位のジェニファー・ブラディ(25=米国)に7―6(7―1)、3―6、6―3と競り勝ち、2年ぶりのファイナル進出を決めた。日本テニス協会の土橋登志久強化本部長(53)も「どんな場面でも動じない。メンタルの安定感、強さを感じる」と舌を巻いた。

 今大会は「テニス以外のことに目を向けている」(大坂)と話し、人種差別への抗議として黒人被害者の名前入りマスクを決勝進出を見据えて7パターン用意。いまやテニスに興味がない人も注目している。

 だが、3度目の4大大会制覇に王手をかけた大坂の前に立ちはだかるアザレンカは難敵だ。4大大会の全豪オープンを2度(2012、2013年)制した実力はもちろん、出産によるブランクから復活を果たし、「鉄のハート」の持ち主としても有名だ。

 DAZNテニス中継の解説者・佐藤武文氏(49)は「気性はメチャクチャ荒いです。とにかく強気なプレースタイルで相手が苦手と分かったら徹底して狙い続けます」と証言する。元女子プロテニス選手で佐藤氏の妻・聖子さんはジュニア時代のアザレンカと対戦しており「先に1セット取ったのですが、途中でロブ(高い軌道のボール)を1回打ち損じたら、そこから全部、ロブを打ってきたんですよ」と振り返る。

 メディア対応でも強気の姿勢を見せる。前哨戦の「ウエスタン&サザン・オープン」では大坂の決勝戦棄権により優勝したが、その後の会見で大坂の抗議行動について問われると「テニスの話をしましょう」とピシャリ。意に添わない話は一切しない。今大会でも準決勝前インタビューでは質問の声が聞きとりづらく、今風のサンドウィッチマン的な日本語に訳すと「ちょっと何言ってるか分からない」と突き返したほどだ。

 しかし、この強気の性格にも「穴」は存在する。佐藤氏は「長いラリーとカウンターが彼女の勝ちパターン。そしてラリーで後ろに下がらない。ベースラインが仕事場なので、ネットにおびき寄せたり、ロブを打つなど苦手なところに配球すればメンタルを崩せるかもしれません」と語る。

 そこでキーマンとなるのが、頭脳派コーチとして知られるウィム・フィセッテ氏(40=ベルギー)だ。「優勝請負人」として過去にアザレンカのコーチも務めた。気性の荒い「じゃじゃ馬」を操縦し続けた同コーチは、性格や弱みを知り尽くしている。大坂陣営からすれば〝丸裸〟にしたも同然だ。相手のお株を奪うように弱点を攻め続ければ強靭なメンタルを一気に崩せる。

 佐藤氏は「選手って長所を伸ばすので、意外と苦手なところは直せないんです」。現在、フィセッテ氏はパワーポイントで戦術をまとめ、大坂に指示している。最恐女王の過去を知るコーチが作成したデータは、大坂にとってまさに「勝利の方程式」と言っていいだろう。2度目の全米制覇の可能性は高まっている。