大相撲の幕内阿炎(=錣山)が日本相撲協会に引退届を提出し、またまた波紋を広げた。阿炎は大相撲7月場所中に接待を伴う「夜の店」での会食が発覚。相撲協会が定めた新型コロナウイルス対策のガイドライン(不要不急の外出自粛)に違反したため、7日目から休場して自宅謹慎していた。相撲協会は阿炎の引退届を受理しておらず、理事会(6日)で処分を協議する。

 角界関係者は「(阿炎の)引退届が取り下げられることはない」と話しており、理事会での処分の内容にかかわらず、このまま引退となる可能性が高い。阿炎は2013年夏場所で初土俵。突き押し相撲で頭角を現し、18年初場所で新入幕を果たした。19年名古屋場所で新小結に昇進。金星2個、敢闘賞2回。大関朝乃山(26=高砂)や関脇御嶽海(27=出羽海)らとともに、角界の次代を担う力士として期待されていた。

 その一方で、土俵外ではトラブルが絶えなかった。昨年11月の九州場所前にインスタグラムに不適切な動画を投稿して炎上し、相撲協会に反省文を提出。今年2月には全協会員が対象の研修会後に「爆睡してた。寝てたし、聞いてねーし」などと発言し、協会から厳重注意を受けていた。

 今回の騒動でも当初は相撲協会に「夜の店」で2度会食したと説明したが、実際はそれより多い頻度で店を訪れており、一緒に行った違う部屋の幕下以下の力士に口止めまでしていたという。最後まで関取として自覚に欠ける言動が目立った。

 師匠の錣山親方(57=元関脇寺尾)は5日に東京・江東区の部屋で行われた新十両の王輝(24)のオンライン会見に同席。新たな関取が部屋から誕生したことには「本当にうれしい、喜ばしい、楽しい」と話していたが…。阿炎の一件で、祝賀ムードが吹き飛んでしまった格好だ。