【大相撲】地方場所が消滅危機!「来年も九州に行けないかも…」後援者に連絡する関取も

2020年07月20日 11時00分

観客は上限約2500人とされたが、初日は“満員”とはならなかった

 大相撲7月場所(東京・両国国技館)が厳戒態勢の中で幕を開けた。東京都を中心に新型コロナウイルスの感染が再び拡大。厳重な感染対策を施した上で、1月の初場所以来6か月ぶりに観客を入れての開催に踏み切った。ただ、本当の意味での正常化に至るまでの道筋は不透明なままだ。角界内では当分の間は「通常開催は不可能」との悲観的な見方があるほか、地方場所の“消滅危機”までささやかれている。伝統の大相撲もウィズコロナ時代の“新様式”となるのだろうか。 

 7月場所が厳戒態勢を敷かれる中で、初日(19日)を迎えた。観客は両国国技館の正面入り口前でサーモグラフィーによる体温チェックを受けてから入場。館内のいたるところに消毒用アルコールが設置され、場内アナウンスや案内板を通じて大声を出す応援の自粛と拍手での応援が呼びかけられた。

 横綱土俵入りでは白鵬(35=宮城野)、鶴竜(34=陸奥)が四股を踏んでも「ヨイショ!」の掛け声はなし。白熱した取組後にどよめきが起きた以外は、静寂の中で拍手だけが鳴り響く見慣れない光景が続いた。日本相撲協会の八角理事長(57=元横綱北勝海)は協会あいさつで「皆さまの健康面と安全面をお守りするため、お客さまにはさまざまなお願いをすることになりますが、ご協力のほど、お願い申し上げます」とファンに理解を求めた。

 力士の間でも新型コロナウイルスの感染対策が徹底された。支度部屋では力士の間はアクリル板で仕切られ、それぞれの力士はマスクを着用したまま準備運動を行った。一方で、無観客開催だった3月の春場所とは異なり観客の存在が力士たちの発奮材料になったことは確か。この日は午後1時の開場前から300人以上の行列ができ、上限約2500人(通常は約1万1000人)のうち8割方は埋まって見えた。

 観客から一番大きな拍手を受けた新大関朝乃山(26=高砂)は幕内隆の勝(25=千賀ノ浦)を送り出して白星発進し「お客さんがいるのと、いないのとでは全然違う」と違いを実感。他の関取衆も「本当にありがたかった」(白鵬)、「力になる」(御嶽海)と約半年ぶりの客入りを歓迎した。観客動員の再開は通常開催へ向けた第一歩であることには違いない。

 ただ、角界全体が先行きを楽観しているかと言えば、答えは「ノー」だ。新型コロナ禍が終息しない限り、再び無観客開催や5月の夏場所のように開催中止となる可能性もあるからだ。地方場所の再開となると、さらに状況は厳しい。今回の7月場所は本来の名古屋(愛知県体育館)から東京へ会場を変更して開催。11月場所も福岡(福岡国際センター)から東京へ変更されることが決まっている。

 約1000人にも上る協会員の移動と、1か月以上に及ぶ長期滞在による感染リスクを回避することが目的だ。ある関取は福岡開催の中止が決まると、九州在住の後援者に次のような連絡を入れたという。

「来年も九州には行けないかもしれません…」

 親方衆の一人も「コロナが落ち着くまでの間は、東京で様子を見るしかない」と表情を曇らせた。ウィズコロナ時代では地方場所が“消滅”する可能性もあるのだ。

 力士たちが再び「満員御礼」の観客の中で相撲を取れるのはいつになるのか。そして、地方のファンにも元気な土俵を見せられる日はやって来るのか…。大相撲が本来の姿に戻るまでの道筋は、見えないままだ。