北京五輪のフィギュアスケートで3連覇を狙った羽生結弦(27=ANA)が男子フリー(10日、首都体育館)で世界初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦。着氷時に転倒して成功とはならず、合計283・21点の4位で大会を終えた。試合後は言葉の端々に「完全燃焼」の思いを感じさせ、演技中から〝滑り納め〟をにおわせるシーンもあった。これが最後の雄姿となってしまうのか――。
成功すれば人類初となる4回転半は転倒した上に「アンダーローテーション(回転不足)」と判定されて失敗。それでも国際スケート連盟(ISU)公認大会で初めてプログラムに入れたジャンプとして認定され、フィギュア史に名を刻んだ。3連覇を期待されながら表彰台を逃した羽生は「全部、出しきった」と第一声。大技についても「今できる羽生結弦のアクセルのベスト。あれが僕のすべてかな」と後悔はなかった。
この日は〝最後〟を連想させるしぐさも随所に見せた。演技のラストには9歳の時のプログラムと同じ刀を鞘(さや)に収めるポーズを取り「あのときの自分と重ね合わせながら…いろんな気持ちが渦巻いていた」。リンクを出る際には氷に触れ「ここまで跳ばせてくれてありがとうって思いながら」と振り返った。4回転半への再挑戦については「もうちょっと時間ください。ちょっと考えたいです」と明言を避けた。
こうした中、すでに羽生ファンの間では「現役続行」か「引退」かを巡り、さまざまな思いが渦巻いている。40代の女性ファンは「平昌五輪が終わってから引退はずっと覚悟してきた」と終わりが近づいていることを感じ取っている様子。別の30代女性は「彼がいなくなった時の喪失感が今から怖い。できればずっと見ていたい」と本音をのぞかせた。埼玉・羽生市の任意団体「羽生結弦かってに応援団」の団長を務める西川丈由氏は「ここまで日本のために頑張ってくれた。ボロボロになって辞めるより〝もうちょっと見たいな〟と思うタイミングで辞めた方がいいのではないか」と引き際についての見解を語っている。
一方で、フィギュア界の重鎮たちからは3月の世界選手権(フランス・モンペリエ)での再挑戦を熱望する声が相次いだ。その理由は4回転半成功の可能性にある。元国際審判員の杉田秀男氏は「ほぼ回っていたね。全日本選手権の時よりも進歩している」と太鼓判を押し「ぜひまた挑戦してほしい。僕の目が黒いうちに見たいですよ」とエールを送った。
元全日本選手権4連覇王者の小川勝氏も「(昨年12月の)全日本の時はわきが少し開いていたけど、今回は完全にわきを締め切り、最後まで軸をつくって回ろうとする攻めの姿勢が出ていた。だから尻もちをついたんです」と指摘。その上で「ここまで頑張ってきたのだから、今まで培った技術を世界選手権ですべてぶつけてほしい。4回転半だけではなく、これ以上ないプログラムで集大成を飾ってほしい」と切に願った。
果たして、ここから羽生はどこへ向かうのか。今後の動向に注目が集まる。












