東京五輪の準備状況を監督する国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員会と大会組織委員会の合同会議が3日間にわたって行われ、最終日の21日にIOCのジョン・コーツ調整委員長(71)、組織委の橋本聖子会長(56)、武藤敏郎事務総長(77)らが会見を行った。

 コロナ禍による医療現場がひっ迫する中、コーツ氏と橋本会長はいつものように「安心安全な大会を」のフレーズを多用して開催をアピール。すると、記者から「過去大会に比べて未曽有な状況。なぜやらなければいけないのか?」という根源的な質問が飛んだ。

 これにコーツ氏は「非常にユニーク(他に類を見ない)な状況だ。延期の大会などは今までになく、今回のように疫病が流行した状況もなかった」と前置きした上で、こんな持論を展開した。

「じゃあ、なぜやるのかと言うとアスリートのためだ。アスリートたちが夢を果たせるように。ほとんどのアスリートは1回しかチャンスがない。彼らの望みは非常に強いものがある。世界のベストな選手と競って、夢を実現したいと熱望している。それを満たしてあげるのが我々の仕事。それを五輪が提供するのです」

 アスリートへの熱い気持ちを吐露したコーツ氏は、最後に「私にとって最も大事なことは日本の国民の安全を守ること。これが一番大事です。そして次に大事なのはアスリートに競技するチャンスを与えることです」と付け加えた。